第二十三話 少年期E
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も終わるにはまだもう少し時間がかかるからだ。
それに新しい住居への引っ越しの準備もある。俺たちが今住んでいるのは管理局が管轄している保護施設であるため、ずっといるわけにはいかないためだ。そのため、みんなは忙しそうにしている。同時に嬉しそうでもあったけれど。
「事故か…。ニュースで見た時は衝撃だった。アルヴィンからもしかしたら、と連絡をもらっていたが実際にあんなことが起きるなんてな」
「そうだね。でも父さんのおかげで母さんたちは救われたんだ。本当にありがとうございます」
「そんな改まって礼を言われることはしていない。私は繋ぎになっただけなのだから」
俺がお礼を告げると、父さんは首を横に振った。父さんはそう言うが、俺としてはこれ以上ないほどの味方だったのだ。この人が支えてくれている、そう思えただけでも安心できたから。
「でもまさか、総司令官のデバイスのメンテナンスを父さんがしていたとはね。最初はどうしてそんなお偉いさんと繋がりがあるのかって驚いたけど」
「あぁ、デバイスマイスターとしてはありがたいことだ。私の腕を認めてくれたということだからね」
いつもはちょっと頼りなくうつる父さんだけど、仕事の話になるといつも生き生きしている。母さんはそんな父さんに呆れているときもあったが、同時に微笑ましそうにもしていた。家の工房でデバイスを作っていた時の父さんの顔は、子どものように輝いていたのを今でも覚えている。俺も母さんも父さんに仕事のことであまり言わなかったのは、そんな父さんの姿をずっと見てきたからでもあった。
父さんはデバイスマイスターとして、その業界ではかなりの腕前らしい。新しいデバイス作りやメンテナンス、改造も手掛けている。さらに時間があれば旧暦時代のデバイスを調べ、その仕組みの解明を目指そうとする研究者な面もあった。
開発者であり、研究者。母さんと初めて出会ったときは、お互いに似たような境遇であったことから意識しだしたみたいだし。……話がそれたな。
「その、とにかく。父さんにはお礼を受け取って欲しい。俺には感謝を言葉にすることしかできないから。管理局員への伝手を用意してくれなかったら、俺じゃあどうしようもなかった。なによりも総司令官が俺のことを信用してくれたのは、父さんを信頼していたからだって俺だってわかるよ」
父さんは色々無頓着なところがあるし、俺の中でも心配度上位の人物だ。だけど責任感が強く、不器用だけどすごく優しい人だって父さんを知っている人なら思う。生活のすれ違いから離婚してしまったとはいえ、母さんが選んだ人でもあるのだから。
「だからありがとうございます、父さん」
「……はぁ、この頑固さは誰に似たのか。わかった、お礼は確かに受け取った」
肩を竦めながら、父さんは微
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