第二十三話 少年期E
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、俺が原作の2人の道筋を知っているから……、という影響もあるのかもしれない。周りも大人ばかりだから付き合い方というものもあった。
でも父さんは、自分でも不思議なぐらい自然体でいられた。彼の持つ柔和な人柄や温かさに、この人なら許してくれるかもしれない、と甘えてしまったことは何度もあった。もちろん言わないことはたくさんあったし、困らせたくないから、あまり頼りすぎないようにはしていたけど。
「それより父さん。お昼食べよ、お昼。俺もうお腹がすいて力が出ない」
「……十分元気だと思ったが。ならどこかお店に入って食べに行こうか?」
「あ、ちょうどいいところがある。前にもらったクーポン券の期限もぎりぎりでいけそうだし」
『あぁ、恋するバーサーカーの突撃を凌いだと言われる方がいるお店ですか』
同僚さんに対してなんか伏字があったように感じたが…。店員さんを同僚さんに紹介して、そこに彼女が突撃をかましに行ったのはもう随分前のことだ。その時は同僚さんが開発チーム分のクーポン券をもって、お腹いっぱいで帰ってきたんだっけ。
お仕事が大変な皆さんに、もし機会があればおいしいご飯を…、とスマイルでクーポン券を渡されたらしい。同僚さんから話を聞いたときは完全に宣伝扱いされている、と思ったが本人はイケメンぶりに喜んでいたから気にしないことにしたけど。
そんなこんなでやってきたお店は、なんとも摩訶不思議なところだった。ちょっとおしゃれ風の店が立ち並ぶ中、そこは地球の居酒屋のような雰囲気だったのだ。壁にはお品書きが書かれていて、木のテーブルと椅子、さらにカウンター席まである。棚にはお酒が並べられており、落ち着いたムードが日本を思い出させた。
『このお店、ますたーが前に端末で見ていた、地球にあるお店に似ていますね』
「うん、ちょっとびっくりした」
日本に迷い込んだのかと最初思ったが、青や赤といった髪の人が当たり前のようにいるし、料理を待つ間に空中に映像画面を出して時間をつぶしている人もいた。カラフルな髪色に慣れたとはいえ、この空間との違和感はすごい。そのミスマッチさが、ここがミッドチルダなのだとすぐに俺の意識を戻してくれた。
「いらっしゃいませ。2名様でしょうか」
「はい、テーブル席でお願いします。アルヴィンもそれでいいか?」
「あ、うん。俺もそれでお願いします」
父さんの方は話が進んでいたらしく、話を振られてとっさに答える。2人の後をついていきながら、俺は肩を落とす。女々しいというか、なんというかという心境。自分では踏ん切りがついた、納得していたと思っていても、心の中ではふと前世を探している時がある。
こうして2度目があるだけでも十分幸せなことだ。ミッドや家族を、前世と混合しないようにしよ
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