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スーパーヒーロー戦記
第64話 第二次日本攻略作戦(前編)
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には充分過ぎるものであった。
 そして、視界が晴れた時、勝負は決していた。

「がはっ!」

 ライダーブラックの体にシャドームーンのキックが突き刺さっていたのだ。
 シャドーキックを食らったライダーブラックが力なく地面に倒れる。其処へサタンサーベルを持ったシャドームーンが歩み寄る。

「勝負あったな、死ね、ブラックサン!」

 トドメを刺すべくサタンサーベルを振り上げる。だが、其処へ突如バイクの音が木霊した。見ればそれはライダーブラックの愛用するバイクバトルホッパーであった。
 バトルホッパーが主を守る為単身シャドームーンに突っ込んできたのだ。

「むっ!」
「ば、バトルホッパー!」

 完全に動けないライダーブラックの眼の前で、バトルホッパーがシャドームーンを弾き飛ばす。その後も間髪居れずにシャドームーンへと突撃する。

「フハハハ、喜べブラックサン。地獄への共をつけてやるぞ!」
「な、止めろシャドームーン!」

 ライダーブラックが手を伸ばす。だが、そんな彼の願いも空しく一蹴された。
 シャドームーンへと突撃したバトルホッパーを出迎えたのは、シャドームーンの情け容赦ない一突きであった。それは一撃でホッパーのハンドルを切り裂きエンジンを切断し、動けないようにしていく。

「ハハハハハ、この私に逆らった者がどうなるか、この屑鉄で見せてやる!」
「止めろ、止めてくれえええええ!」

 動けないライダーブラックの眼の前で、バトルホッパーはバラバラに切り刻まれてしまった。顔を模したライト部分は抉られ、マフラーは引き千切られ、あらゆる部品が毟り取られた。その後もシャドームーンは笑いながらバトルホッパーを切り刻んだ。既にホッパーから声は届かない。
 もう、バトルホッパーは屑鉄と化してしまったのだ。

「ふん、要らぬ手間をさせられたな。さて、では仕切りなおしだ」
「信……彦!」
「ブラックサン、死んで行く貴様にせめて良い土産話をしてやろう。我等は貴様等を抹殺する為に手を組んだのだ。侵略同盟と言う名のな」
「何!」
「貴様等が悪戯に分裂して対立していたお陰で我々はなすべき事を出来た。感謝しているぞ。その礼だ……ひと思いに地獄へ送ってやる」

 サタンサーベルが頭上へと振り上げられる。紅い刀身が太陽の光を浴びて怪しく光り輝いていく。

「信彦、お前には分からないのか! 悪魔が微笑んだ星はいずれ滅びる。本当に必要なのは、互いに助け合う事なんだ。人間の心を思い出してくれ!」
「…………」

 心からの声にシャドームーンは応えなかった。只、無言のままサタンサーベルがライダーブラック目掛けて振り下ろされたのだ。その一撃は、ライダーブラックの、南光太郎の命を刈り取るには充分過ぎる程の一撃であった。

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