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アルジェのイタリア女
第二幕その七
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「タッデオさんも」
「もう船も用意できていることじゃし」
 タッデオもそれに頷く。
「帰るとするか」
「イタリアへ」
「輝かしいヴェネツィアへ」
「今度は捕まるんじゃないぞ」
 ハーリーが彼等に言った。
「流石に二回も捕まるとは思えないが」
「勿論よ」
 イザベッラがにこりと笑ってそれに応えた。
「一度失敗したら二度はしないのがイタリア女」
「ほう、いいねえ」
「そして失敗を成功に生かすのよ」
「じゃあ今度会う時は奴隷じゃなくて友達としてだな」
「そうね。一度ヴェネツィアにも寄って」
「言われなくてもな、今度交易で行かせてもらうよ」
 この時代はまだ海賊と商人の区別は曖昧なものであった。これは何処でも同じで倭寇もそうであった。彼等も私的に交易をしたり海賊になったりであったのだ。

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