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呉志英雄伝
第一話〜幼き日々の英雄2人〜
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りかぶった剣を江目がけて全力で振り下ろす。
江がまるで動きを見せないが、雪蓮は構うことなく動作を続ける



「はあああぁぁぁ!!!」



ガキンッ




振り下ろされた剣が江の身に届かずに停止する。
江は雪蓮の全力の攻撃を右手に持った剣一本で受け止めたのだ。
そのことに少なからず動揺する雪蓮。







「戦いの最中に心の隙を見せてはいけませんよ」


いつの間にか雪蓮の背後に回り込んでいた江はそう言うと雪蓮の後頭部を軽く小突く。


「っ!バカにしないで!」


この行為は雪蓮の武に対する誇りを傷つける。
その眼に怒りの感情を湛えて、後ろに立つ江に横薙ぎの斬撃を放つ。しかし…


「消えた!?」


その攻撃はむなしく空を切ることとなる。


「安い挑発に乗るのもよくないですね」


誰もいないのに江の声が聞こえる。
その声が足元から聞こえることに雪蓮が気づくには時間が足りなかった。
声が聞こえた次の瞬間、雪蓮の視線は空に向いていた。


ドサッ


音を立てて、地面に仰向きに倒れこむ雪蓮。
そこでようやく自分がきれいに足払いを受けて、地に倒れこんでいることに気づいた。




ザク




そしてまたその次の瞬間、自分の頬のすぐ横には剣が突き立てられていた。
刃が当たったのか、雪蓮の頬には一筋の傷が出来、そこから血がにじむ。










「これで満足していただけましたか?」


見上げれば、そこには優しい表情を浮かべる江の姿。
陽の光に照らされたその笑顔に雪蓮は少しの間見惚れていた。


「…雪蓮?」

「…あ〜あ、私の負けよ。完敗」


何故か負けたというのに、雪蓮は妙にすがすがしい気分だった。








―――――――――――――――――――――――






「それでは今日はこれにて失礼いたします」


陽の光が傾き、西の空を茜色に染め上げている時分、江は孫家の親子と冥琳に別れを告げて、帰途についた。
江が帰った後の宮城で…


「むぅ〜泊まっていったっていいじゃない」


と駄々を捏ねているのは雪蓮。
そんな愛娘の様子に思わず笑みをこぼすのは桃蓮。


「江には朱家という帰るべき家があるのだ。………それとも何か?アイツに惚れでもしたのか?」


ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、そんなことを言う。


「なっ、別にそう言う意味じゃないわよ!」

「ほぉ…手合わせの後、あんなにべったりしてたのに私たちが気付かないとでも思ったのか?」


雪蓮の否定の言葉に、すぐ
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