第9話
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全員が楽しそうに俺を見る。雰囲気的に断れそうな空気では無かった。
「(まあ、仕方ないか。悠斗の過去を聞けたのだから、これくらいは付き合ってやるか)そうだな。あれは、まだ若かった頃だ」
俺は、内心で腹を決めて、自身の武勇伝を語り始めるのだった。
ヒュームsideout
揚羽side
紋白の自室で悠斗やヒュームの武勇伝を聞き終え、夕食を済ませ湯浴みを終えた我は部屋で悠斗と共に布団で互いに一糸纏わず横になっておる。今は、悠斗の左腕に頭を乗せ腕枕をしてもらっておる。
「なあ、悠斗よ」
「はい。揚羽様。なんでしょうか?」
悠斗が顔を横にして我を見る。互いの視線が交わる。我は悠斗の目から視線を外す事はしない。
「紋白の自室で言っていた過去の話の中で、不思議に思った事があるのだ」
「何がですか?」
「果てしない戦争とは、終わることのない戦争と言うことなのか?我には理解が出来ぬ。何故、平和を捨ててまで戦争をする必要があるのかが」
「う〜ん」
悠斗は目を閉じて悩む。我にはどうしても理解が出来ない。人は平和な世で生きていきたいのだ。 確かに、世界中に多種多様な人種、宗教、文化など多彩なものがあるが、人々は皆平和を求めている。戦いのない平和な世をだ。それにも関わらず、何故決起した者達は終わりのない戦争を求めたのだろうか。
悠斗がそっと我を引き寄せる。互いの距離は息が触れ合う程の近さだ。
「おそらく、それは揚羽様が武人であって、戦士では無いからでしょうね」
「どう言う事だ?」
「俺の様にCQC等の特殊な技術を持った戦士は、戦場では貴重な存在ですが、平和な世では只の不器用な木偶に成り果ててしまいます」
「何故だ?平和な世でも充分生かせると我は思うぞ?」
少なくとも、警察やSP関係の仕事に就職すれば問題なく生かせる技術だと我は思うぞ。
悠斗が我の髪を優しく撫でる。
(うむ。悠斗の手で髪を撫でられると、とても落ち着くな)
我の髪を撫でながら悠斗はそっと微笑む。
「ありがとうございます。揚羽様。確かに今ならば、生かせるかも知れませんが決起した部隊の者達は違いました。彼等は自分達が生を感じられるのは戦場しかないと考えたのです。だからこそ、世界が平和になるのを恐れた。平和になれば軍縮により自分達が切られる。自分達が生を感じられる場所が無くなるのは困ると、だからこそ終わりのない戦争を引き起こす引き金になろうとしたのですよ」
「そうか。彼等は自分達の居場所が無くなるのを恐れたのか。彼等は武人ではなく、あくまでも戦士で在りたいか。少なくとも、常人の考えが及ばぬ場所よの。悠斗。わざわざ話してくれてありがとう。疑問が解けて胸がスッキリした。今
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