第二十七話
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ドはマンスターから付けられた護衛の兵を引き連れ、俺達の警護に当たった。
数日をここで過ごし、捜査に協力した後に俺たちはマンスターへ赴き、二ヵ月ばかりの時を過ごした。
俺はこの襲撃の差配はレイドリックのものと口を割った男の言葉から断定したが、物的な証拠もなく、証人もこの世には居ないのだから声高に主張することも出来ない。
悪くすると俺がトラキアに送られた私怨を晴らす為にレイドリックを陥し入れたと思う者とて出てくるだろう。
いずれ奴には今回のことを後悔させてやるとしても…ロプトの魔道士を使っているのか、それとも使われているのか…。
事件自体はロプト教の狂信者によるテロとされ、迎えに寄越されたドリアス伯爵の引率する部隊と合流し、俺たちは旅程の途上で帰国した。
「…明確に関連付ける証拠はありませんが、捕らえた者がレイ…ドと言葉を遺したのでわたしはレイドリックの差し金だと思っています。これはわたしの他数名も耳にしております」
帰りの道中で伯爵と俺はいつものわるだくみ?をしていた。
「彼の動機はいろいろあると思います。まず、わたしからの復讐を恐れて先に手を打っておこうということ。そして、コノートの国王夫妻が娘を私に嫁がせようとしたことを知り、
そうなった場合わたしが邪魔になるであろうということ。さらには…ロプトの魔道士も関わっていたので操られていたという可能性も」
「ふぅむ。わたしはそれに加えて、やりたかったのではないかと思いますぞ。戦を。ゆえに戦を止めた殿下を見過ごすことが出来なかった。己はこれから老いていくというに殿下はこれからのお方、早めに芽を摘もうと…」
「なるほど…しかし戦をやりたかったというと合点がいかぬこともあります。コノート領を見るに、今は戦どころでは無いと思われます。なにか必勝の策でもあると?」
「ありますな」
「あ!寝返りですか!」
「そうです。我らを裏切り、トラキアと組んで後背から襲いかかると言う必勝の策が」
「むむむ…」
「しかし、それが殿下によって押しとどめられたということで奴は方針を変えざるを得なかったと。
殿下ご自身が先だって、コノートの離反もありうると警告なされたので、手の者を使い調べさせました」
「いろいろ知ったような事を申しておいて、自分が情けなくなります…ところで伯爵」
「はっ、いかがされました」
「随員に名乗り出てくださったのをお断りした上に、結局はこうして伯爵のお力に縋ってしまいました。申し訳ありません。そして、ありがとうございます」
「何をおっしゃる! もし私が同道したとしても盛られた毒に気が付かずあの世で殿下に詫びていたと思いますぞ。 よくぞお命保ってくださいました」
「いやいや、それは偶然です。 出されたの
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