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ボリス=ゴドゥノフ
第一幕その二
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ディミールやドンで作られたものが最も尊いとされてきた。ロシア人の信仰の拠り所の一つである。
「神の栄光を讃えよ」
 彼等は歌う。
「聖なる力を讃えよ。そして救世主をお迎えするのだ」
「尊い方々の御言葉だ」
 ロシアの民衆は信心深い。悪く言うならば迷信深い一面がある。その彼等が聖職者達の言葉に耳を貸さない筈がなかった。
「聞こえたな」
「ああ」
「イコンを持って」
 彼等は囁き合う。
「行こうか」
「行くのか」
「皇帝をお迎えに」
 ここで誰かが言った。恐ろしいまでに絶妙のタイミングで。
「皇帝を」
「ゴドゥノフ様を皇帝に」
 彼等の囁く声は次第に大きくなっていく。
「お迎えするのか」
「そなた達」
 ここで今まで黙っていた警吏が再び口を開いた。

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