第二十六話
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な問題には遭わないとは思うが、気を配る必要はあるだろう…。
なんにせよ他国を知ったりなにか繋がりを得ることを期待して若い騎士や文官を中心にして編成し、その中にグレイドを指名し、彼はそれに応じてくれた。
出発の数日前に頼みごとがあったのであのひとの元を訪れた。
「あなたにはいつもお願いごとばかりで心苦しいのですが、まずはわたしの話だけでも聞いてみてはいただけませんか?」
ドリアス伯爵の居館を訪ねてセルフィナさんに出立の挨拶を告げたあと、こう切り出した。
「いかな願いでありましても、わたくしが…ミュアハ様の申しつけに否やはございません」
すこし俯き加減の彼女も、そして俺もいささかばつが悪い。
「…セルフィ。わたしが不在の間、我が姉エスリンの話相手になってはいただけないでしょうか?異国の地で親しき者もそう多く無く、兄上は激務が続くことと思うのです。なれば時として人恋しくなることあるやもしれません…わたし自身、異国でそのような思いを経験したもので……」
「もちろんです、グランベルでの作法を学びたいと申し出ればよさそうです?」
「そうですね。ただ…アレだけはちょっとというのがあるので先にお知らせします。これは、そのぅ、してほしくないなぁというものでしてね…」
俺が下着の件を伝えると彼女は頬を赤らめた。
「いや、まぁ、あれですよ、きっと……女性には時として伴侶の愛を受け入れたくても体の方が付いて行かないことがあると聞き及んでいます。そんなことを男の側が知らずに伴侶の愛を求めて、拒まれた時にお互いに傷つかないように…という風習ではないのかと思うようになりました」
「な、なるほど…そういう考え方なのですね。 いずれにせよ…ミュアハ様のお願いだからと言うだけに限らず、エスリン様と知己を得たいと思います」
「では、ご都合のよろしい時を教えていただけませんか? ねえさまにも話を通しておきたいと思います」
その日の夕刻に二人を引き合わせることができた。
「こちらはドリアス伯爵のご息女でセルフィナ様とおっしゃいます。わたしの…幼馴染なのです」
「こうして直接お会いいただく機会を初めていただきました。ドリアスの娘、セルフィナと申します。
ミュアハ殿下には…………妹…のように良くしていただいております」
彼女の万感の思いのような一瞬の言葉の詰まりに、俺は胸が痛くなった。
「わたしはエスリンよ、みゅぅ君と同じで礼儀正しいのですね。そして、みゅぅ君の妹さんならわたしの妹にもなってはもらえないかな?」
ねえさまは相変わらず春の日差しのように、にこっと笑うと膝を曲げてセルフィナさんと目線を同じ高さにした。
「畏れ多きことなれど申し上げます。 エスリンねえさま…」
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