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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
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言う。
「よい。私も少年と対面できて嬉しい」
「僕は何にも嬉しくないけどね」
「それで我が主よ。なぜこのような場に………?」
挟んだレンの言葉を、これ以上ないくらいに完璧にスルーしたカグラの問いに、カーディナルはうむ、と頷く。
「引き上げるぞ。観客が来た」
その一言で、カグラにはわかったらしい。顔を引き締めて頷く。
「かしこまりました」
短く言ったカグラの返事を聞き、カーディナルは無造作に右手を振るう。
すると、右手を振った先一メートルほどの空間に、突如穴が開いた。
おそらくそれが、カーディナルがここに急に現れたタネなのだろう。
「……待てよ」
レンは言った。持てる限り、精一杯の殺意をのせた言葉は朗々と響き渡った。
穴に片足を突っ込んでいたカーディナルはこちらをちらりと見る。
「案ずるな、少年。今は一時退くだけだ。また改めて、姫を取り戻しに現れよう」
「………………………………」
無言で黙るレンを見、何が面白いのか口許を笑みの形に歪ませてカーディナルは今度こそ穴の中に消えた。そのすぐあとに、カグラが続く。
──と思ったが、巫女服コスプレ女は踏み出しかけた足を止め、こちらを向く。
その表情はとても痛々しかった。
唇が何かを訴えるかのようにパクパクと動くが、レンの耳に届くような空気の振動は伝わってこない。
結局、カグラは悲しげに顔をうつむかせる。
「……ねえ、おねーさん」
だからだろうか、レンが思わず声をかけたのは。あまりにも、カグラの表情が悲痛で、悲しげだったから。
顔を上げ、視線を合わせてくるカグラの顔を正面から見つめながら、レンは続けた。
「ホントにおねーさんは、こんなことをしたいの?本当は………?」
「それ以上は言わないでください、少年」
冷たく、凍えて、しかし今にも壊れそうな言葉が返ってきた。
「……………おねーさんは、ウソつきだね」
「……………何とでも」
その言葉を最後に、長刀を携えた巫女モドキはきびすを返し、穴の中に消えていった。
穴も、役目を終えたとばかりに、さっさと消え去る。
それを見届けた時、レンの体を途方もない倦怠感が襲ってきた。それは泥のように重く、レンを眠りの世界に引き込もうとする。
レンは一瞬抵抗しようとするが、たちまちのうちに目蓋が途轍もなく重くなってくる。
どんどんと暗くなっていく視界を眺めながら、レンはぼんやりと考えた。
これって何かデジャブじゃね?と。
完全に閉じた目蓋の向こうで、レンは誰かに呼ばれたような気がした。
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