第56話 蘇れ、われらのゲッターロボ
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きた。彼等は察するに剣道部であろう。
その両者が互いに出会い睨み合う。
「やぁやぁ、其処に居るのは剣道部じゃないか! 我等浅間学園柔道部は今全国大会に向けて猛練習中なんだ。すまんが道を空けてくれんか?」
「それはこっちの台詞だ! 我等剣道部も来るべき全国大会に向けて猛練習中だ。そっちこそ道を空けろ!」
次第に険悪なムードになりだした。両者のキャプテンが仕切りに怒声を張り上げあいだし、ついには互いの胸倉を掴み会い出した。
「待って下さい!」
溜まらずフェイトが二人の間に割って入った。突然の乱入者の出現に両者はそれぞれ見る。
「何だお前は?」
「此処は女子供の出る幕じゃない! すっこんでろ」
すかさず両者からの激しい怒声が響く。それでもフェイトは引き下がらない。
「皆様も目的は同じじゃないですか。此処は互いに道を譲り合えば良いじゃないですか?」
「冗談じゃない! 俺達には誇りがあるんだ! こんな奴等に道を空けるなんざ出来るか!」
「こっちも同じだ! そいつらがどかないなら力ずくで退かすまでだ!」
フェイトの制止も無視して両部のキャプテンが互いに殴り掛かろうとする。そんな二人に尚もフェイトは訴えかける。此処で引き下がる訳にはいかない。何としてもとめなければならない。その強い思いが彼女の中にあったのだ。
「ええぃ、もう勘弁ならねぇ! こうなったらこのガキ諸とも叩きのめせぃ!」
「こっちも同じだ! やっちまえぇ!」
もう我慢の限界かとばかりに両者がフェイト諸とも踏み潰そうと進みだす。幼い彼女ではどうしようもなかった。
「あぁ、ちょっと待ってくれよぉ」
「え?」
土手の方から声がした。見ると一際大柄な男性が手に大きな握り飯を持ちながらやってきたのだ。その男性がフェイトの前に歩いてきた。
「そんなさぁ、喧嘩したって腹減るだけだよ。握り飯食って仲良くしなよ」
「また変な奴が出やがった! あっち行けよ邪魔なんだよ」
流石にこの青年ごと踏み越えては行けない。大きさは自分達よりも頭一つ分くらいの大柄で全身筋肉質だと見える。が、性格は温厚なようだ。
「大体誰何だお前は!」
「俺? 俺は今度浅間学園に転校してきた車弁慶って言うんだ。因みに俺は野球部ね。宜しく」
「弁慶だか牛若丸だか知らんが邪魔だ! 退け!」
上手い言い方だと思えた方は相等頭が古いと言える。ともかく、未だに一触即発な空気の中、フェイトはオロオロしていたが当の弁慶は全く意に返さず握り飯を食っている。
「ほら、其処のおちびちゃんも食うか?」
「え? あ、有難う御座います」
弁慶からそっと握り飯を渡される。しかしその大きさはかなりある。フェイトの手に納まらない位の大きさだ。
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