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スーパーヒーロー戦記
第56話 蘇れ、われらのゲッターロボ
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従来のおよそ10倍は越えるとの予想だそうです」

 その数値に鬼達から声が沸き上がる。驚きの数値だったのだろう。その数値を見て目を輝かせる者も居れば歓喜の声を上げる者も居る。その反応はヒドラー元帥にとっては想定の範囲内だっただろう。

「皆様も既にご承知の通り、このゲッター線増幅装置を奪い、我等が人工都市に組み込めばエネルギー問題は一挙に解決する事となります。そうなれば全世界の人間を鬼にする事など造作もありません」
「確かにそうだろう。だがその早乙女研究所にはあのゲッターロボと言うゲッター線で動くロボットが居ると聞いたが?」

 ある鬼のそれを聞いた途端鬼達の顔から笑みが消えた。皆ゲッターロボの事は既に知っていたのだ。その存在も、そしてその強さも――
 ヒドラー元帥の顔から笑みは消えない。まるで「そんな些細な事でお悩みとは嘆かわしい事ですなぁ」とでも言いたげな雰囲気であった。

「ご心配なく、皆様がお悩みのゲッターロボは既にこの世に消え去って御座います。ゲットマシンは既に大破状態になり、パイロットも一名死亡したとの報告が御座います」
「何と! それが本当なら今の早乙女研究所には防衛手段が無い事になるのだな?」

 再び鬼達の顔に笑みが戻る。

「その通り、更に良い情報が舞い込みました。スパイの情報によると例の混合部隊ガーディアンズは大きく戦力がダウンしているとの情報に御座います」

 彼等にとっては正しく朗報でもあった。ゲッターロボはこの世から消え失せ、ガーディアンズは大きく戦力を削がれた。正しく今こそ絶好の好機とも言える。

「皆様の顔に笑みが浮かんでおるようですなぁ。では、そんな皆様に更に朗報をお届けいたしましょう。グラー博士」

 名前を呼び、ヒドラー元帥の隣にまた別の鬼が現れる。白い髭を蓄えた老いた鬼であった。

「グラー博士。兼ねてより製作していた百鬼ロボの成果のご説明をお願い致します」
「あい分かった。ではこれを見て貰おう」

 グラー博士がボードを操作する。画面が変わりロボットの図面ガ露となった絵が映し出された。

「これが我等百鬼帝国の科学技術の粋を結集して作り上げた百鬼ロボ【一角鬼】に御座います」
「このメカ一角鬼の力はかつてのスーパーロボットを凌駕する事間違いありません。仮にゲッターロボが居たとしてもメカ一角鬼に掛かれば赤子の手を捻る事と大差ありません」

 最早にやけるしかなかった。敵の戦力は低下し、更にこちらはそれを遥かに上回る兵器を所有するに至った。これならば勝ったも同然とも言える。にやけない方が逆におかしいと言える。
 突如、会議室の扉が音を立てて開く。開いた扉からまた別の鬼が姿を現した。二本の太い角を生やし赤い立派な服を身に纏ったいかつい体をした鬼であった。


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