第二十五話
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俺はここ数日アルスターの代表団と共に過ごしていたのだが、会議が散会したので数日ぶりに我が家へと帰ることになった。
コノモール伯爵は想像以上の成果だと俺に言ってくれた。
そう言われるとありがたいが、やはり本当によかったろうかという思いもある……。
「おかえりなさい。やっぱり、城は落ち着くでしょう?」
エスリンねえさまが迎えてくれた。
「ただいまもどりました」
「今日はゆっくりやすみなさい」
俺は頷いてからねえさまに礼を述べると自室へとゆっくり向かった。
部屋に戻ると、俺はすこし萎れた植物達に詫びると水をやり寝台に潜り込んだ。
どんな夢かわからないが夢を見ているなーと思っていたら目が覚めた。
寝台の隣に椅子を持ち込んで兄上が座っていた。
「目覚めたようだな。よくやったよお前は」
兄上は寝たままの俺の頭を撫でて、微笑を浮かべた。
「とんでもない……せっかくの兄上の初陣の機会を奪い、申し訳ありません…」
「そんなもの、これから何時だって機会はある。だから今は自分を誇っていい。お前の話を聞かせてもらうまで、わたしはトラキアの者たちを薄汚いハイエナとさえ思っていた、わたしは彼らを見下していたかもしれない。目を覚まさせてくれて感謝するよ」
兄上は俺の頭を撫で続けていた。
「兄上……」
夕餐の席に俺は兄上と共に向かうと、ねえさまは既に座しており俺たちににっこり微笑んだ。
もう踏み台なんて必要の無い俺の席。
それに座り、ぼんやりと父上を待っていた。
やがて父上もやってきて、みな挨拶を交わす。
そうしてややぎこちなく俺たちは食事をはじめた。
エスリンねえさまが気を使って話題を出しても二言三言続くと会話が途切れる。
……俺のせいだな、それならば意を決して……
「父上…」
「ん、ミュアハよ、わしのほうからも話があるが先に良いか?」
「もちろんです」
「すまんな、あぁキュアンもエスリンどのも聞いて欲しい。 来月かその次か、わしは北のイザークへ旅に出る。息子のお前たちばかり旅に出てずるいからな」
父上は笑って
「えぇええぇ!?」
俺も兄上もねえさまも驚きの声をあげた。
「半分はたわむれとしても、半分は真だ。もう3〜4年前からオードの裔より招きの使節があってな。
旧交を温めるというやつだ。
キュアン、そしてミュアハや、お前たち二人ならもうわしが留守にしても大丈夫だろう。
本当に困ったらドリアスなりを頼るといい。そしてエスリンどの、わしの自慢の息子らだがすこし寂しがりの癖があるので、たまには甘やかしてやってほしい。」
機嫌良さそうにワインを一口空けると
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