第二十五話
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
……俺の発言のあと、戦術の技術上の問題が(窪地とそれを利用された塹壕戦)まずは議題にかけられ、兵站の問題点や占領後の課題なども議論されはじめた。
ここまでの作戦を立てた参謀のチームは引くに引けず、財政的に苦しいレンスター以外の各国はこれを機会に出兵取りやめもしくは規模の大幅縮小を狙い、互いに議論の応酬で会議は膠着してしまった。
出兵でまとまっていた四国の足並みは乱れてしまったのだ。
「俺は本当は度し難い愚行を犯したのかもしれない…」
俺は報告を誰にもしなかったがトラバントは深手を負っていて、彼の腹心の部下も幾人かレイミアが切り捨てており、もし出兵した場合それなりの戦果が上がる可能性は充分ある。
……思ってはいたが、全面戦争になったら両国の溝は埋めようが無いとか、上げた戦果を長く保つのは難しいというように自己正当化していただけではないだろうか。
なんのことは無い、戦場に近くなるであろうレイミアと暮らした村の村人達を戦禍に遭わせたくないという自分勝手な想い、ただそれだけなんだろう……。
今回の北部連合の作戦が大成功し、もしかしたらトラキアが統一されるのかもしれない、このままだらだらと南北で対立し続けいびつな関係が10年20年と続いたらより多くの人が不幸になるかもしれない。
それなら……と、ずるずると考えていた……
「ゆーくんが何か言ったって、決めるのはここのオサーン達ですしw自分の言ったことで国が動くなんて思いこみwうぬぼれすぎwワロタwww」
……アイツが居たらこう言ってくれるかな、そうだよな……そう思い込ませてくれたアイツに少しだけ感謝して俺は少し心を楽にした。
この日は結局何もかも先送りになった。
翌日は、俺の帰還によりトラキア王国への援助を切るとしてそうなると出兵の規模もまた変わるだろうなどと意見も出たり、コノート王国からはレンスターに対して議決票の返還と補償金の打ちきりの打診が控えめに出される等の違うアプローチからの議論となった。
コノートからの要求は概ね受け入れられたが、俺への慰謝料として毎年少しずつコノートからレンスターへの資金供与は続くらしい。
結局のところ、攻め込む場合は例のミーズで主力を引き受け、ターラの協力を受けて機動戦力で一気に踏みつぶすという方針を採用しつつ、食糧援助では無く有償での売却ならば応じても良いという結論になった。
実際のところターラなどの自由都市が北トラキアの食糧をトラキア王国に売る場合、最大5倍の差額で売っているという情報もあり、それなら倍や3倍程度の価格でトラキア王国に売った方が相方の益となるからであろう。
ただ、その場合北トラキア連合の兵をターラにあらかじめ潜伏させておく協力は取り付けにくくなると思われる……。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ