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忍術と食を極めし者
第7巻
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が球体状に自身を被う見えない不可視の場に触れた瞬間、魔力を吸収され無効化されてしまう。それも彼の力を増幅させてしまう形といった最悪な状態で。

 アスカはムムの能力を完全に見切った。

 初めから感じていた覚えがある感覚に、先ほど口に漏らした彼女の一言。それでムムの能力を把握し、全てを理解した。予想はしていた、ムムの能力の正体は造物主が種とするウェスペルタティア王族が身に宿す王家の魔力。人形ごときに己れの血の力を宿させるとは思いもしなかったが、正体が解ればそれまで。幾らチャクラを含めた放出系統の技を無効化できようが、この身までは無効化するなど不可能。王家の魔力で作られた障壁は輪廻眼の餓鬼道で魔力を吸収してやればいい。あとはチャクラ等を使わずにグルメ界の猛獣たちを相手できる、人間の限界を越えた力を生み出すグルメ細胞を内包する鍛え上げた肉体の膂力のみでことたりる。忍術が、切り札とも言える須佐能乎が封じられようとも、この身一つで切り抜けよう。

 しかし魔法世界を創り出した者が、なかなか酷いことをする。無≠フアーウェルンクスとして造られたムム・アーウェルンクス、彼女の役割はただの当て馬だ。自ら切り捨てたアスカを彼が自分の元から去り、あれからどれ程の実力を有したか確かめ測るためだけの当て馬でしかない。ただ、それだけの為に彼女は生み出された造物主の劣化体。千住柱間の劣化体であるゼツのような存在に近い。


 「ならば……」


 思い切り殴り飛ばし間を広げ蹴りを放つ。放った蹴り―レッグナイフ―の斬撃より彼女の胴体が横真っ二つに。ムムを真っ二つにした蹴りの斬撃は彼女を真っ二つにしただけでは止まらず、後ろの壁を奥の奥まで切り裂いていく。

 上下二つに別れた上半身の方に近づき髪を鷲掴みにし、自分の目線まで持ち上げる。彼女を含める造物主作の使徒たち人形は、左胸部に存在する人間の心臓にあたる核を破壊されない限り活動を停止。つまり死ぬことはない。


 「このまま逃げ帰るなら好きにすればいい、トドメはささん。ただし、奴へ伝言を届けろ。『貴様の絶望は此処までだ。希望を得て死ね』とな」

 「な、なんれ…ひょんな――がっ?!」


 言いたいことを言い終え、ムムを雑に投げ捨て彼女には、もう用がないと言わんばかりに後ろを向き歩き出す。目指すは依頼である対象のテオドラ。もとより彼には依頼の救出任務以外は眼中に無いのだ。当て馬として役目を終えた人形にメッセンジャーとして新たな役目を与えてやったのだ、文句を言われるような筋合いなど無い。





 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△ 





 アスカがムムを真っ二つにした頃、アリカとテオドラが幽閉されている牢獄代わりの一室。


 「よう、助けにきた
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