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王道を走れば:幻想にて
第四章、その7の2:丘の野戦 ※エロ注意
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!?固まってっ、槍を構えてーーー」
「来たぞ!!!」

 誰かの一声によって賊らは互いに身を寄せ合い、その剣先を騎馬隊へと向けた。鋭き切っ先が群れを成して向けられる様は、まさに剣山と呼ぶに相応しき様子である。馬の勢いがそれによって弱くなるのは必然といえた。
 而して騎馬隊は剣山から十メートルほどを前にして横へ馬首を変える。チャイ=ギィが右手に持った短槍を、大きく振り被った。

「投げろぉっ!!」

 五十と二つの騎馬から、槍が次々に投擲される。まさにそれは予期していなかったのであろう、盗賊らは為す術無くそれらの餌食となって、身体に太い穴を開ける悲劇に見舞われた。

「突撃っ!!!」

 賊らによって、悪夢の如き宣告が響き渡った。真っ先に敵陣へと切り込んでいくチャイ=ギィとアリッサを皮切りに、勇猛果敢な私兵団の面々が、そして慧卓が賊を屠りに突撃していく。疾風の如き走駆は必要なかった。その場を少し歩くだけで獲物となるべき賊がうようよと出歩いている。馬上から剣を何度か振るえば、まさに面白い勢いで賊の頭が割られていくのだ。反撃によって馬に危険が及ぶ事もあるが、流石其処は私兵団、肉が引き裂かれる直前に手綱を捌いてそれを避け、返す刃で賊の身体を引き裂いていた。

「ひ、退けっ!撤退だっ!村まで撤退しろ!!!」

 指揮官が恐々とした声で命を下す。生き残った僅かな者達が西の方角へ走り去っていく。残った者達を一分も経たぬ内に殲滅すると、慧卓は血に塗れた刃をその者達に向けた。

「そのまま追撃しますっ!一人たりともーーー」
「駄目だっ、味方が押されている!救援に向かうぞ!!!」

 彼の提案はアリッサによって却下された。丘向こうの光景は見えないが、アリッサには戦場の空気で理解できているようである。確かに、僅か十人程度の敗残兵を追撃するよりかは、未だ抵抗する数百人を相手にするのが、兵のあるべき姿といってよかろう。
 私兵団が急ぎ駆け上っていく丘の向こうでは、激しい攻防が繰り広げられていた。白兵戦に一日の長がある賊兵らを、数と規律の利によってエルフ軍が迎え撃っている。一刀振るえば相手に致命傷を負わせる賊と、一人の敵を確実に仕留めていくエルフ軍。それぞれが己の長所を遺憾なく発揮して、緑の丘に鮮血の光景を作り上げていた。
 賊の若人は足元に倒れている死体を踏みつけながら何とか踏ん張り、自らに集ってくるエルフ兵に歯軋りしていた。

「くそっ、土人の分際で、纏わりつくんじゃねぇ!!」

 若人は敵から奪った槍を振るって相手の顔を薙ぎ、返す刃で首を突き刺す。勢いよく槍を引き抜いて新たに迫る敵を牽制しつつ、それとなく戦況を観察した。戦況は数の割に五分といったところか。丘から仲間が駆け上ってくれれば、一気に戦況を有利に持っていく事が可能であ
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