暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
パンドラの箱
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一印象と同じ。
やっぱり全てが止まっている。近くの木の枝に止まっている鳥も、空中を飛んでいる蝶すらも空中で止まっている。
それをいささか思考が付いて来てない感がある頭でレンは見ていた。
その時───
ビギリ………………
「……ッ!…が……う………あァ」
明確な鋭い痛みが脳裏で響いた。同時に、無機質な声がレンの聴覚を揺らした。
「やはり完全なリンクは不可能なようですね」
レンが振り返ると、少し離れたところに瞳の色をなくしたマイが静かに佇んでいた。
「マイちゃん!」
思わず呼びかけたレンの声を完璧にスルーし、マイはぶつぶつと意味不明な言葉を羅列する。
「やはりシステムとのバランスは困難ですね。生命活動を無視すると、5000倍なるのですが……。しかしそうなると、データの収集が追いつきませんね。………まったく、人間と言うものはどうしてこう脆いのでしょうか」
あの無垢な彼女の口から発せられたとは思えない冷たい言葉に、レンの体が気圧されて一瞬固まる。
だが、気をどうにか持ち直して細い彼女の肩を掴む。
「ねぇマイちゃん、いい加減に教えてくれない?この時間が止まったような世界は何?君は何なの?」
マイはちらりと掴まれた肩を見たが、幸いにも何も言わずに口を開いた。
「この世界はあなたが思った通りの世界ですよ。正確には止まっていませんがね」
「止まってない?」
レンはもう一度周囲を見回す。全く景色は変わっていない。……いや、違う。さっきとは微妙に鳥や蝶の位置がずれている。
「うッ………ッ!」
そこまで見た時に、再び頭に鋭い痛みが走ってレンは思わずうずくまる。それをマイはあくまで無表情で見下ろす。
頭蓋骨が割れるような、凄まじい痛み。ぎしぎしと頭が軋むような気すらもする。
再び、頭上から無機質な声。
「……やはり、いくら適格者とは言っても限界がありますね。脳細胞の死滅が始まっていますか」
あくまで無機質を貫き通すその言葉を聞いて、レンは思わずぎょっとする。脳細胞の死滅?脳細胞って……あの脳細胞?
「これ以上の続行は難しいですね。だとすればどうしましょうか」
フム、とおとがいに手を添えるマイの外見をしたモノの眼前に、音もなく一つのウインドウが出現した。それを一瞥したマイの表情が、若干だが初めて変わった。
「……これはこれは。運命と言うのは時としてとんでもない悪戯をすると言いますが、この場合はまだ現実的な範囲でしょうか?」
ふふ、と笑みを洩らすマイであり、マイではないモノ。
そしてこちらをちらりと見るマイ。
「あなたの全ての質問に答えられなくて本当にすいません。ですが、私が何者か、と言う質問に関してはあなた
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