第10話『怒りの矛先』
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よくわからない質問に当然の答えを返したけど、少しノジコの問いの意図とはズレていたらしい。ノジコはため息をついて、遠回りでは俺に伝わらないと考えたのか、言葉を変える。
少し悔しいが、それで正解だノジコ。ストレートに言ってくれないと俺はわからないぞ、頭悪いからな。
「アーロンがいるってわかってたでしょ?」
「……ああ」
「じゃあこんな危険なところに帰ってきたのだって理由があるんでしょ?」
「ああ」
「なんで?」
なんだ、そんな簡単な質問だったのか。
「アーロンをつぶしてこの村を救う。そのためだ」
「……やっぱり」
呆れたようにため息を吐くノジコ。
「あんたは魚人のことをわかってない。人間じゃ魚人にはかなわないよ。さっきだって海軍の船がものの数分で沈められた。あんたがどういう生活を送ってきたのかは知らないけど、諦めてアーロンにばれる前に帰ったほうがいいわ」
なんとなく伝わってくる。
ぶっきらぼうなノジコの言葉の裏にある感情が。
俺は一度アーロンに殺された。
俺がアーロンにかなわないと思っているのも事実だろうけど、きっと俺がまた殺されるのが怖いんだ。二度も見たくない、本気でそう思ってくれている。
「村はナミが救ってくれるからいい……って?」
「! ……もうベルメールさんに聞いたわけね」
「ああ」
「だったら、あんたは死なないことが大事なんだ! あの子がアーロンから村を救って、それでまたこの村に帰ってきたらいい!」
感情がたかぶってきたのだろうか。ノジコの動きが激しくなって、身振り手振りで俺を諭そうと必死になっている。
少し、戸惑ってしまう。考えてしまう。
俺の8年間はアーロンを潰すためだけにあった。村を救うためだけにあった。師匠を超えるのはそれらが終わってからの目標でしかない。
ここで引くことは俺の8年を無駄にしてしまうことになるし、何よりも俺の努力と、師匠を裏切ることになる気がする。だからひいてはいけないと思う反面、ナミのことを考えてしまう。
ナミはこの8年をずっとこの村を救うためにだけに生きてきた。一億ベリーを稼ぎ、ココヤシ村を買うためだけに生きてきた。俺がここでアーロンに勝てたとして、ナミの8年はどうなるんだろう。
いや、だが、だけど。
ナミの努力を無視するかのような言葉だからあえて口に出そうとは思わないけど、俺は海賊が約束を守るなんて思っちゃいない。少なくとも俺が8年前に見たときのギザ鼻の印象はそうだ。そもそも海賊で約束を重んじるような人間は絶対数的に少ない。
――待った。
大事なことを忘れていた。
麦わらたちはどうするんだろうか。ここでナミを仲間に出来なかったらどうなるんだ? 麦わらも困るだろうけど、ナミだって自分の本
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