暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
第10話『怒りの矛先』
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ってる」

 アーロンに撃たれて生きてたのも奇跡だけど、あの後海賊にぼこられて生きてたってのも今考えれば奇跡だ。未だにどういうルートでこのイーストブルーからあんなグランドラインのどまんなかにまで運ばれたのかがわからないけれど、それも奇跡といえばきっと奇跡だ。

「さてと、とにかく俺はゲンさんのところ行って服かりてこようかな?」
「うん、そうしなさい」
「あら、本当、服ぼろぼろね」

 今更ノジコが気づいて、なぜか感心するようにうなづいている。そこはかとなく嫌な予感がしたので、さっさと家を出てしまおう。

「そうなんだよ、ってなわけでとりあえず行ってき「待った!」

 やっぱり、来た。

「服がぼろぼろなんだから少しぐらい畑仕事手伝ってくれてもいいんじゃない? ゲンさんにはいつでも会いにいけるわけだし」

 にっこりと。

「あぁ、そうね、それは助かるわ。じゃあ私がその間に服もらってきてあげる」
「俺の意見はなし?」

 うーむ、早く服を綺麗にしてアーロンのところに乗り込みたかったんだけど。

「ほら、かごもってついてきな」
「へいへい、行ってきます」
「ほい行ってらっしゃい」

 ベルメールさんが俺の甚平を洗いに家の奥へと入る。俺とノジコはみかん畑に入って収穫できるみかんを手にとって吟味しながらかごに入れていく。
 さすがにぎこちない動き出しだ。
 ノジコよりも効率は悪いのは確かだけどそれでも自分が何も教わらずに動けることに驚きを覚える。

「……長年みかんから離れていたわりには覚えているもんだな」

 我ながら関心して呟いてしまうが、ノジコはそれをバカにしたように言葉を返してくる。

「ベルメールさんの子なら当然でしょ」
「……ま、そうだな」

 特に反論の余地はない、そう思って素直にうなづくのだが、そこで会話が途切れてしまった。
 なんだろうか、この空気は。
 ベルメールさんとはすごく軽い感じで会話できてたのに。
 あれか、それは実はベルメールさんの母親としての威厳的なそういう力が働いて「あんた、なんか変なこと考えてない?」

「かか、考えてねぇよ」
「どもってんじゃないの」
「うぐっ」
「……」

 そこで、また沈黙。
 沈黙自体が嫌いなわけではないが、どうにもノジコの様子がおかしい。いつもならそこで一言二言鋭い言葉を切り返してくるはずなのに。なんだか考え事でもしているのだろうか。
 そう思ってノジコを伺おうとした瞬間、ノジコに声をかけられた。

「あんたさ」

 真剣な声だ。さっきまでの軽さは微塵も感じられない。

「……ん?」
「なんで帰ってきたの?」
「なんでって、故郷に帰ってくるのに理由がいるか?」
「そうじゃなくて」

 
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