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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
連鎖する不幸福
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執着する程に、赤原礼装に宿る概念に快感を覚えたのか。
なら―――

「―――別に譲ってやってもいいが?」

「え?そ、そんなこと―――」

「ただし!私のことを金輪際記事にしないと誓うのならば、という条件付きだがな」

「そ、そんなことでいいんですか?」

「構わん。これも価値観の違いだ。外套に対する価値も記事にされるという事実も、私と君にとっては真逆。ならば、正統な等価として与えるのは何ら不自然な話ではあるまい?」

これも所詮、私にとっては投影によって幾らでも換えが効く乱造品。
対して、彼女にとっては実りの無かった今回の取材でさえ、記事にされる事を望まぬ私にとっては価値が逆転する。
ならば、互いの価値が同等となり、かつ自分にとっての価値が底辺の物を取引材料にすれば、無駄はない。

「私の一張羅が気にくわないのなら、布だけ渡すから後は好きに改造すればいい」

「え、あ―――はい。なんて言うか、ペンに加えそのようなものまでいただいて、罰が当たりそうな………」

急にしおらしくなる射命丸。
記者である彼女自身には、意外にも謙虚という言葉はまだ残っていたらしい。

「気にする必要はない。記事にしないと確約するのであれば、この程度安いものだ」

「はい!絶対、一生、金輪際、命に代えても!」

どれだけ欲しかったんだろうか。
その必至さには、盲信さえも覚える。
………ある意味で、本当に渡すべきなのか悩む。
これを渡したら、麻薬よろしく完全に依存体質になるのではないだろうか?
少女の鬼気迫る頷きから、そう感じずにはいられなかった。

「まぁ、取り敢えず―――そら」

慣れた手付きで投影を済ませ、改造前の聖骸布を手渡す。
外套が出来るレベルの質量であることから、何を作るにしても大抵は問題なくクリアできるだろう。
自己強制証明(セルフギアス・スクロール)のひとつでもあれば、ここまで手間取ることはなかったのだが、無い物ねだりしたとて詮無きこと。

「ありがとうございます!お〜、これですよこれ」

そう言いながら、真紅の布を抱きしめる射命丸。
その表情は、母親に抱かれた幼子を彷彿とさせる蕩けきったものであった。

「―――ハッ、いけないいけない。それでは、本日の取材協力ありがとうございました。とはいっても、何だかこちらばかり得をするような形になってしまいましたが、もしよろしければこれからも、新聞記者ではなく、射命丸文個人としての付き合いを続けていきたいな〜なんて」

………本来、交流が生まれたことに喜ぶべきなのだろう。
だが何故だろう。
今私の中には、味を占められたのではという猜疑心ばかりが募っている。

「因みに、なにかにつけて私の魔術に頼るような関係は勘弁願いたいから、
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