第二十三話
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寝かされていた。
「ここは賢者の隠れ里、大賢者ハルクさまによって護られています」
「のちほど、ハルク様に会われるとよいでしょう」
清潔そうな真っ白い貫頭衣に身を包んだ女性が俺に告げてくれた。
「ありがとうございます。賢者の隠れ里とは伺いましたが全く見当がつかないものでして…」
寝台から降りようとするとふらついて、そのまま俺は再び眠りについてしまった。
再び目が覚め気が付くと、薄い紫色の豪奢な衣を身にまとい、豊かな白髭を胸のあたりまで蓄えた老人が居た。
「申し訳ありません。こんな姿勢で」
俺は上体を起こしなるべく姿勢を正し、寝台から降りるとその老人に丁寧にお辞儀をした。
「助けていただいたようでありがとうございます。 わたしはミュアハと申します」
「そして、まことの名はユーキ君というのだね」
「…な、なぜそれを」
俺の背筋に悪寒が走り、冷や汗が流れた。
「迷い人、それも悪しくなき迷い人でしたからの、失礼ながらお寝み中の間に覗かせていただいた」
「…心や記憶が読み取れるのですか?あ、質問ばかりで申し訳ないです。恩人らしき方に対してご無礼をいたしました」
「いやいや、ここは世の理や時を離れた狭間ゆえ、そしておぬしはそういう場所への関わりが浅からぬご様子」
「はい、なにもかもお見通しのようで恐れ入ります」
「さて、迷われ人どの、おぬしのここでの行い、つぶさに見せていただいた。なんと言っても何も娯楽も無きこの地に於いて、迷い人の観察ほど心の慰めとなるものは無い」
「そうですか。お恥ずかしい限りです」
「何を言う、儂はむしろ敬意すら抱いておりますぞ。」
「敬意?」
「うむ。闇に陥された哀れな魂に慰めを与え、欲深き畜生にすら劣るが如き者を諭し、そんな者を救う為にわが身を削った」
「言わんとされることは伝わりますが、わたしの立場上やらねばならないこと、許されたやりたいことをしただけです。そしてあなた方にはこうして助けていただいた。それに覗かれたならご存知でしょう?わたしは敬意を払われるような聖人君子どころか欲の為に動いている俗物です」
「遠慮深いひととなりというのも覗かせていただいたので存じてますぞ」
「いえ、そんな。それに何をおっしゃりたいのか愚かな私には察することもできず申し訳ない」
「儂のほうもまわりくどすぎました。では、こういたしましょう。あの魔人からお救いしたのでこちらからのやっかいごとを引きうけていただきたい」
「厄介事とは?」
このハルクという賢者は合図をすると人を呼んで、絹ともまた違う光沢のある布に包まれた一振りのつるぎを持ってこさせた。
「これは、この地にあってはならないもの、もしこれに触れること叶
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