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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第七話 贖罪
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誘導したのだ。
 液体の正体はガソリン。
 普段ならばガソリンの異臭に気付き、その正体が分からずとも、直ぐにメンヌヴィルはその場から引き返しただろう。だが、メンヌヴィルの鼻は火の海となった中庭から立ち上る煙により馬鹿になっていたのだ。
 そのため自分の身体を汚す泥の異常に気付くことが出来なかった。

「……勉強になったかね? ガソリンと言うのだよ……良く……燃えるだろう」









 メンヌヴィルが自らの炎で自身を焼き尽くしていた頃。
 食堂での戦いも収束に向かっていた。
 女生徒たちの悲鳴が響く中、傭兵たちが一人、また一人と倒れていく。銃士隊の隊員たちにも倒れるものもいたが、それでも傭兵たちを超える人数がいた。

「隊長ッ!!」
「ッ!? ちぃいッ!!」

 部下の声に、後ろから魔法を放ってきたメイジ気付いたアニエスは、大きく舌打ちをしながらも、掠りもせずに上手く避け。避けた勢いを殺すことなく魔法を放ったメイジに向かって駆ける。

「このっ――」
「遅いッ!!」

 魔法を避けられたメイジは、直ぐに次の魔法を放とうとするが、アニエスの踏み込みはそれを踏み潰す。

「ごっ――ほッ……ぅ」

 アニエスが突き出した剣は、違うことなく魔法を放ってきたメイジの身体に突き刺さる――が。 

「なっ――このッ!」
「――やれえぃッ!!」

 心臓に剣を突き立てられながらも、最後の力を振り絞り、自身の身体に食い込む刃を素手で掴み、メイジが声を上げる。
 アニエスは一瞬動揺するも、直ぐにメイジの体を蹴りつけ身体から刃を抜くが、遅かった。

「隊長おおおぉぉぉッ!?」

 部下の悲鳴が聞こえる。
 視界の端に、何本ものマジックアローが自分に向かってくる。
 自分の体勢は崩れており、避けることが出来ない。
 いや、例え体勢が崩れていなくとも、避けることなど出来はしなかっただろう。マジックアローはそれぞれバラバラのルートを飛んでいる。どれ一つ当たることなく避けることなど出来はしない。一つ当たれば致命傷となるだろう。

 詰み……か。

 ……ああ……クソ……仇を……故郷の仇を見つけたのに……ッ……ここで……終わりなのか……っ








「――全く……この借りはキッチリと返してもらうよ」

 声と共に、アニエスとマジックアローとの間に、床から壁が飛び出てくる。床から生まれた壁は、マジックアローの全てを防ぎきると同時に崩れだす。

「なっ?!」
「え?」
「ふんっ……ほらぼうっとしない」
「げっぇ!?」
「っごっえぁ?!」

 驚愕の声を上げ固まる食堂にいるものに、呆れたような声が掛けられると共に、食堂内のあちこちからくぐもった声が漏れ
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