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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第七話 贖罪
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ように動きを止める。

「子供だろうが女だろうが容赦なく燃やし尽くした貴様がっ! 殺し以外の何を教え――」
「――黙れ」

 小さな声だった。
 しかしそれは、火の海となった中庭に響き渡っていたメンヌヴィルの声を押し留めるほどの力があった。 

「……くくっ……そう、それだ……ああ、二十年前と変わらない……その気配……死の香り……オレから光を奪った男……コルベール……っ!」

 ロングビルの前に立つ、コルベールの気配が変わっていく。
 いつも穏やかで優しい雰囲気を纏っているコルベールから、近寄りがたい何かが溢れ出てくる。
 それは熱。
 それは炎。
 それは死。
 生き物が本能的に恐れる火に対する恐怖。
 触れれば怪我どころか、燃やし尽くされ灰も残らないのではと。そう真剣に考えてしまうほどの……殺気。

「……メンヌヴィルくん……わたしは今……とても後悔しています」
「何をだい隊長?」

 穏やかと言えるほどに落ち着いた声で、メンヌヴィルにコルベールは言葉を掛ける。

「あなたを殺さなかったことをです」
「は――」

 ニッコリと笑うコルベールだが、誰もが見ても、それを笑顔だと言うものはいないだろう。
 まるで仮面。
 笑みの形をしている仮面。
 対するメンヌヴィルが浮かべるものは、同じく笑み。
 コルベールが浮かべるものと違い、それは誰が見ても笑顔だと言うだろう。
 しかし、誰もがその言葉の前に、一言付け加えるだろう。

「ひはははっははっはははっははははっはははははっはっはははははははははは!!!!!」

 「狂った」と。

「ひひひひひひひひひひひひひひひっっ!!! その後悔は遅すぎだぜ隊長殿ぉッ!!」
「そうですね……全くその通りです」

 荒々しく言葉を発するメンヌヴィルに、終始穏やかな口調のコルベール。
 互いに向けられた杖から、炎が吹き出す。
 メンヌヴィルからは白い炎が球となって。
 コルベールからは炎で出来た巨大な蛇が。

「くははっ!! 流石っ!!」
「…………」

 丁度互いの中間でぶつかり合った白い火球と炎蛇は、互いにその存在を潰し合い爆発した。
 爆発の勢いは強く。爆風により、中庭に燃え盛っていた炎が消えてしまうほどであった。

「おいおいどうした隊長殿ぉッ!!」

 爆風により火勢が衰え、それに伴って暗くなった中庭を、コルベールはメンヌヴィルから離れるように走り出した。走るコルベールに向け、メンヌヴィルが何発もの火球を放つ。火が収まり、闇に沈んだ中庭を走るコルベールに、正確に火球が向けられる。いくら中庭が闇に沈もうとも、元から明かりに頼らないメンヌヴィルには何の不利にはならない。

「逃げるだけか!」

 反撃もせず逃
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