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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第七話 贖罪
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る。

「たまに向けられる視線の中に、ゾクリとするほど鋭いものが混じっていたってね」
「……」
「だから最初は警戒していたって……でも、直ぐにそれは信頼に変わったとも言ってたよ」
「え?」

 コルベールに話しかけながら、ロングビルは杖を振るう。

「その視線が向けられるのが、生徒に近づいた時だけだって……正体がわからない男が生徒に近づくのを、警戒しているのだとわかったからだってね……」
「いや、そんな……わたしは……」
「……寒気を感じさせるほどの視線の強さは……いざとなれば、命を掛けてでも戦おうとする気概からきたものだろうとも言ってたね」

 地面からゴーレムが姿を現していく。
 鈍色に光るそれは、鉄製のゴーレムであった。

「……そんな人だから、頼りになるって……それほど生徒を大切に思っている男を、信じられないはずがない……てね」
「わた、しは……」

 地面から現れたゴーレムが、十体を数えると、食堂に顔を向けながらポツリと呟いた。

「……そろそろ時間だね。あたしはもう行くよ」
「ミス・ロングビルっ!?」

 離れていこうとするロングビルを、コルベールが上げた悲鳴じみた声が呼び止めた。

「何だい?」
「……あなたは信じられるのですか……こんなわたしを……」
「あたしはあんたなんて信じてなんかいやしないよ」
「え?」

 ロングビルが何気なく呟いた言葉に、コルベールは絶望的な顔を見せる。

「あたしが信じているのはシロウさ」
「し、ろうくん?」
「シロウがあんたを信じるって言ってるんだ。なら、あたしも信じるさ」
「何故?」

 コルベールが訝しげな声を上げると、ロングビルは月光に緑の髪を輝かせながら振り向き、

「惚れた男のことを信じない女がいるかい?」

 輝かんばかりの笑顔を向けた。

「え?」

 呆然とするコルベールを背を向けると、ロングビルは作り上げたゴーレムと共に食堂に向かって駆け出していった。










「……教師? はっ……はははっははははっはははははっ!! 本当に貴様教師をやっているのか!? 『炎蛇』と呼ばれ恐れられたお前が! 何を教えると!? ああっ! そうか、そうか! 効率のいい人の殺し方か? それならば納得だ! オレも受けたいぐらいだからな!」
「……そんなことは教えてはいません」
「はっ! ならば何を教えると言うのだっ! 『魔法研究(アカデミー)実験小隊』の隊長だった貴様がっ! 一体何をっ!」
「ッッ!!??」

 メンヌヴィルの上げる哄笑は、燃え盛る火勢を越え、銃士隊と傭兵たちの死闘が続く食堂にまで届いていた。銃弾や魔法が乱れ飛ぶ食堂の中。一瞬の油断も出来ない状況で、一人の人間が凍りついた
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