第二十二話
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から戻るまでの道中に多少なりとも兄上から聞かせてもらってはいたが、兄上とて長くグランベルに滞在していたわけだ、抜けおちた情報もあることだろう。
だからこそ伯爵から話を聞かせてもらいたいと思ったのだ。
「伯爵。わざわざお時間をお作りいただいてありがとうございます」
「なんの!殿下のご下命とあればいついかなる時とて馳せ参じましょう。して、如何なご用向きでございましょうや? いや、いきなり用件から伺い申し訳ございませぬ。トシのせいか気がせいてしまうようになり申した」
「何をおっしゃる。まだまだセルフィナ様の弟や妹ごを幾人でも作れそうなほど若々しいではありませんか」
「ははは。殿下もお人がわるぅなられましたかな?後添えでもご紹介いただけるのかと思いましたがそうではありますまい」
伯爵は笑顔をやめて向き直ると
「殿下のこと、わが国の様子に何やら感じるところがおありですな」
俺は伯爵から情報をもらってから判断をしたかったのだが、先に試験されたようだ。
「はい、戻りの道中立ち寄った村々の民の顔には疲れが見え、王都の民には誤った戦意の高揚のような…なんと申しますか、戦に逸っておるかのようなあやうさを感じております」
「ここ連年、トラキアの餓狼どもへの食糧支援に加えて陛下は軍備の増強を掲げており、そのしわよせは弱き立場の者らに向かっているのは間違いありますまい。なれどレンスターはまだいいほうです。
コノートは前の戦の責任として我が国に対し毎年保障費と四国会議での議決の票を差し出しております」
「…それならば、悪くすると、国として立ち行かなくなり最悪の場合四国の連合から離反する恐れもありますね… まぁ、わたしが戻ったので援助のほうは有償で手を打つなり、コノートからはもう保障費はいただきませんし票もお返しするとか。そうして、すこし軍縮のほうへ向かえばみなも一息付けるでしょう」
「…陛下がそのように判断していただければよろしいのですが、あれ以来どうも以前にも増してトラキア憎しの態度を強められ、威勢のいい者の意見に耳を傾けがちでしてな……」
「伯爵には御苦労をかけっぱなしで申し訳ないです。そして陛下によく尽くしてくださっていること、お礼を申し上げます」
「なんともったいなきお言葉、いま以上にこのドリアス、忠勤に励みましょうぞ」
う〜ん、父上はこれは一戦しないと納まらないだろうな…だが、そんな無益なことはやるべきじゃないし、仮に益があったとしてもやりたくはないよ……
それからドリアス伯爵は呼び鈴を鳴らした。
「お飲み物と、軽いおつまみをお持ちしました。ご歓談中に申し訳ございません」
涼やかな声と物腰でセルフィナさんがやってきた。
帰国した時の王都以来であるけれど、あのときの
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