第十二話
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を考えてしまう。
だが、逃げることはできない。俊司は震える手に大丈夫と心の中で言い聞かせながら、カウントを続けていった。
「俊司さん……」
俊司の感情は他の全員にも伝わっていた。
少し遠くから見ても、俊司の手が震えてるのがわかる。だからこそ失敗するわけにはいかないと覚悟を決めた。
必ず彼は帰ってくると信じて。
「2……1……走れ!!」
俊司の掛け声とともに、妖夢たちはいっせいに走り始めた。
変換『犠牲と発達』
「聴覚を犠牲に!」
「やつら全力疾走で逃げていきます!」
逃げていく妖夢たちをみて、兵士がそう叫んだ。
「隊長が来るまで逃がすな!スナイパーあいつらの動きを止めろ!」
「りょうか……」
パァン!!
「ぐあっ」
突如発砲音が鳴り響き、命令を受けスコープを除こうとしたスナイパーは悲鳴をあげて気絶してしまった。
「なっ……なにが……!?」
兵士はまた妖夢たちのほうを振り返った瞬間、なぜか言葉を失ってしまった。
「どういうことだ……?空間がゆがんで……」
兵士が見ていたのは妖夢たちから約50mほど手前の場所。人影はまったく見えない。だが、その場所だけ、空間が軽くゆがんで見えていた。
まるで何かが行き来してるかのように……
「まさか……あの少年が!?」
と兵士が叫んだ瞬間、
パァン
と二回目の発砲音が鳴り響き、
「ぐあっ」
二人目のスナイパーが気絶した。
(聴覚の犠牲がこれほどの能力上昇につながるなんて……)
発動したスペルカードの効果に、俊司は自分が発動したにも関わらず驚きを隠せずにいた。
彼が犠牲にしたのは『聴覚』
目に見えない部分の索敵には必須なのだが、あえてそれを犠牲にすることで通常の何十倍もの効果を得ていた。
体全体が軽くなり自分のスピードで周りすべてがスローモーションに見える他、目に映る情報はそこから先が瞬時に計算できる。身体能力だけでなく思考能力までもが格段にパワーアップしていた。
そのためか、この距離ならスナイパーの方が有利になるはずなのに、
パァン!!
「あぐっ!?」
俊司は500mほど先にいるスナイパーを、寸分狂わずしとめていた。
だが、その分の代償もでかい。
聴覚を失い辺りは何も聞こえない。回り込んでくる敵がいれば即座に対応しないと確実にやばい。それ以外にも着弾音や発砲音が分からず敵の位置も把握しずらく、決して油
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