第三章
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同じでね」
「それ位のものなんだね」
「うん、マエストロにとってはね」
「だから天才なんだね」
カールはしみじみとした口調になっていた。
そしてその口調でこうペドロに述べたのである。
「息をするみたいに普通に作曲しているから」
「いつもそうしているからね」
「特に特別なものと思わずいつも自然にしている」
「子供の頃からずっとそうだから」
「成程ね、違うね」
カールはこうも言った。
「もうそこが」
「そうだね。天才っていうのは」
ペドロも言う。
「そう言うものなんだね」
「そのことを息をする様に出来る」
極めて自然に、そういうことだ。
「それが為に天才なんだね」
「そういうことだよね」
「天才とは何ぞや」
カールは確かな声で言った。
「それわかったよ」
「そうだね、僕もだよ」
ペドロも微笑んでカールのその言葉に頷く。彼もわかったのである。
そしてモーツァルトの屋敷の方を振り向いてこうも言ったのだった。
「マエストロがどうして天才か」
「それがね」
二人は考えていたことの答えが見つかりそのことに喜びを感じていた。モーツァルトは何故天才か、そのことがわかって晴れやかな笑顔になっていた。
天才とは何ぞや 完
2012・11・21
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