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西域の笛
第一章
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に行けない様にされるというのだ。
「帝も御前のことを本当に気にかけておられるんだよ」
「そのことは有り難いですが」
 玄奘の才覚は皇帝李世民、後に太宗と呼ばれることになる名君からも愛されていた、それでだったのである。
 皇帝は玄奘に危ういことはさせたくなかった、それでだったのだ。
 だが玄奘はあくまでこう言うのだった、
「しかし私は」
「どうしてもか」
「行きたいのです」
 そして経典を手に入れたいというのだ。
「是非共」
「流されてもいいのだな」
「流されても諦めません」
 これが玄奘の考えだった。
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