第106話:私たち、結婚します!(4)
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こちらへ」
恭也さんに招かれるまま、道場の中央に移動すると、
正面には木刀を握った美由紀さんが立っていた。
「今日は美由紀の相手をしてもらう。いいな」
「はい。よろしくお願いします」
恭也さんは美由紀さんに向かって無言で頷き、美由紀さんも
同じく無言で頷き返す。
「じゃあ、はじめよっか」
そう言った直後、美由紀さんの表情からスッと色が抜け落ちる。
俺が木刀を構えると、美由紀さんも木刀を構える。
美由紀さんの動きを見定めようと、じっと美由紀さんを見ていると
不意に、美由紀さんの姿が掻き消えた。
(なっ!)
何かが来る!という直感のままに木刀で防御の姿勢を取った直後に
木刀と木刀がぶつかり合い、カンッという鈍い音が静寂に包まれた道場に響く。
「へぇ、初見で防がれるとは思わなかったなぁ」
やけに間延びした口調で美由紀さんは言うのだが、
俺は何が起こったのか理解できず混乱の極致にあった。
(なんだよあれ! 魔法・・・なわけねえし。訳がわからん!)
俺が混乱から抜け出せないでいると、美由紀さんは一旦距離を取る。
(くそっ、また来るぞ・・・。どうする、どうする・・・)
その時、俺の頭の中に相棒の声なき声が響く。
[《マスター、大丈夫ですか?》]
[レーベンか。まあ、大丈夫だ。]
[私の助けが必要なんじゃないですか?]
[《命を取られるような戦いじゃなし、ここは一人でやらせてくれ》]
[・・・わかりました]
レーベンは最後に不満そうな声を出して引き下がった。
再び、美由紀さんとの戦いに集中する。
(さあ、今度はこっちから行くか!)
俺は気を取り直し、美由紀さんに向かうべく板張りの床を蹴った。
・・・1時間後。
俺は大の字になって道場の床に寝転がっていた。
結局、美由紀さんの攻撃を満足に防ぐことができたのは、最初の1回と
終盤の何度かだけで、俺の攻撃はかすることすら1度もなかった。
結果、俺は美由紀さんにボコボコにされたわけだ。
「大丈夫か?」
やられっぷりを見てさすがに心配になったのか、恭也さんが俺の顔を覗き込む。
「まあ、なんとか」
「悪かったな。美由紀が途中から調子に乗ってしまって・・・」
「ちょっ、あたしのせい!?」
タオルで汗をぬぐっていた美由紀さんが慌てて駆け寄ってくる。
「ゲオルグ君に満足に攻撃を当てられないからといって、
ムキになって本気を出す美由紀が悪い」
「あたし本気なんか出してないもん」
恭也さんと美由紀さんが口論を始めたのだが、俺は仲裁に割って入る気力もなく
2人が言い争う様を床に座り込んで茫然とみていた。
しか
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