第106話:私たち、結婚します!(4)
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そちらで寝ている。
身を起して布団から出ると、冬の冷たい空気にさらされてブルッと身震いし、
思わず布団の中に戻りたくなる。
が、気を取り直して部屋の隅にあるバッグのところに着替えを取りに行く。
バッグからトレーニングウェアを取り出してサッと着替えると、
部屋を出てリビングに向かう。そこには2人の男女が待っていた。
「おはようございます、恭也さん、美由紀さん」
俺が2人に声をかけると、こたつに座っている2人が俺の方に目を向けた。
「おはよう、ゲオルグ君」
「あ、ゲオルグくん。あけましておめでとう」
「あ、はい。あけましておめでとうございます」
一瞬、美由紀さんの言葉の意味を理解できなかったのだが、
昨日になのはから教えてもらった年始の挨拶だと気づいて、
とっさに挨拶を返す。
「どうだ? よく眠れたか?」
「そうですね。床に直接布団をしいて寝るっていうのはちょっと
抵抗ありましたけど、ぐっすり寝かせてもらいました」
「そりゃ結構。じゃあ、道場に行こうか」
「そうですね」
恭也さんと美由紀さんが立ち上がって居間から出ていくので、
俺は2人の背中を追った。
俺がこんなに朝早く起きた理由は前日の夕食後に交わした会話にある。
士郎さんと恭也さんと美由紀さんは剣術を嗜むようで、
なのはから俺が剣を使った戦いを得意としていることを聞いたのか
恭也さんが稽古に付き合わないかと誘ってきたのだった。
俺も子供のころから剣術のトレーニングを続けてきているので
魔法抜きでもそこそこはやれるという自信があって承諾した。
が、こんなに早い時間に起きる羽目なるとは思っていなかったので
その時は多少後悔した。
だが、今となっては朝の冷たい空気に身を引き締められる感覚も手伝って
早起きも悪くないと思っている。
家の中を静かに歩き、裏手に回ると平屋の木造建築が現れた。
表の洒落た感じとは一線を画する雰囲気に気圧され、俺は一瞬足を止める。
「どうした?」
「いえ、なんでもないです」
足を止めた俺を不審に思ったのか、道場に入りかけた恭也さんが
俺の方を振り返る。
俺は恭也さんに対して首を横に振ると、2人に続いて道場に足を踏み入れた。
道場の中は板張りの床で、外とほとんど温度の変わらない、ひんやりとした
空気で満たされている。
「さあ、はじめようか。好きな木刀を使ってくれていい」
低く抑えられた声で言う恭也さんに対して小さく頷くと、
壁に掛けられた木刀の一本に手をかけた。
その形状はレーベンにも似た、わずかに湾曲した形状をしている。
木刀を握り、2度3度振るって感覚を確かめると、恭也さんに向かって頷く。
「それでいいんだな。じゃあ、
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