After days
fall
決戦の暗雲
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Sideレイ
「ワーオ……」
トリスタンの咆哮を合図に全力後退したその直後、敵陣足元に突如として出現した巨大クレーターを覗き込みながら、呆れと感嘆の入り交じったため息が出る。
「……こんな短時間でこんなの作れるのか?」
「にわかには信じがたいが……。出来たってことは可能なんだろうな」
そのクレーターは開始直後からボッシュともう一匹のモグラが地下に掘っていた穴だ。
《穴堀スキル》を限界まで極めた彼らの集団戦での一番の活躍の場がこの巨大クレーターだった。
デメリットは時間が掛かる事と、敵に感付かれない内に誘導し、罠に嵌めることがとても難しいことだった。
《荒野》が誇る集団戦の奥の手『奈落』
これに落ちた敵は衝撃、もしくは味方の重量で多大な損害を被る。さらに、脱出も相当難しい。クレーターの淵は敵にぐるりと囲われているので、登っての脱出は困難を極める。
だが、
「……やはり、やつだけはそう簡単にやられてくれんか……」
トリスタンが低いうなり声をあげて構える。
―――砂ぼこりが晴れたその向こうに無傷で此方を睥睨するガノンの姿があった。
「皆、済まないがやつに手は出すなよ。私がやる」
一同が頷き、それにトリスタンが短く謝辞を述べると、クレーターを迂回しながら徐々にガノンに歩み寄って行く。
「……さてと、どっちが黒かな?」
「どうやって見極めるんだよ?」
「技の軌道を見る」
そんなんで分かるのかと突っ込みたい気もしたキリトだったが、「まあ、レイだし」と納得した。
両者の距離は既に10mを切っている。一足跳び、ありとあらゆる戦闘ゲームではとっくにアタックレンジだ。
二匹の距離が詰まり、遂に5メートル程。それでも両者は動かない。互いににらみ合いなからお互いが隙を見せる瞬間を辛抱強く待ち続けている。
この時、レイもキリトもこの場のいかなるギャラリーすら気がついていなかったが、この二匹は既に知覚内では戦闘を繰り広げていた。
すなわち、相手の出方の数手先まで読む、先読みの心理戦。
重心をわざと移し、飛び込んできた所をカウンターで迎撃する。有無を言わさぬスピードでの突進。あるいは単純な力押し。
互いにそれらの迎撃方法を脳内で組み立てながら、かつ、相手の隙や作戦を伺う。
沈黙が続き、二匹は同時にある結論に達し、同時に動いた。
『―――策など無用』
『―――勝敗は殺るか殺られるか』
『『―――ただ、叩き潰すのみ!!』』
音もなく同時に飛び出した両者は中でうなり声を上げながら衝突し、地上
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