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ソードアート・オンライン ーコード・クリムゾンー
第一話 閃光と赤
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度目の驚きに、ジルの顔を見上げた。
今までの笑顔とはまるで質の違う、なんだか嫌味な笑顔でジルは口を開いた。

「別に驚くようなことでもないっしょ? ちょっと考えただけで誰でも分かるよ。それとも、俺がただのナンパだと思ってた?」

クスクスと笑うジルに、アスナはなんだか負けたような気がした。

「……あなたのお察しの通り、今日は例のクエストの攻略を依頼したくて来ました」
「だろうね。これでホントは逆ナンですって言われたら嬉しいんだけど」

口が減らないジルに、アスナは軽い頭痛を感じた。
本当にこの男があの難関クエストを唯一クリアしたというのだろうか、とアスナは強い疑問を覚えていた。

六十層で一週間前に発見されたクエストは、これまで類を見ないほど魅力的なものだった。
『この城を突破した者には無数の金属か、至高の金属かのどちらかが与えられるだろう』――クエスト依頼するNPCが告げた言葉は、多くの攻略組ギルドを駆り立てた。そしてそのことごとくがほうほうの体で緊急脱出する破目になった。
NPCが指定した城は、罠だらけで時間・人数制限ありのいっそいじめのような場所だったのだ。

多くのプレイヤーが散った――精神的にだが――クエストをクリアしたのはただ一人。今アスナの目の前にいる少年だけなのだ。

「――まあ、俺としては断る理由もないね。KoBにはこうして好き勝手やらせてもらってるし、わざわざこんな美人さんを派遣してくれたわけだし」

言外に今回は乗ってやると告げられ、アスナは複雑な心境だった。
今回の依頼にあたり、KoB幹部はジルについて情報を集めた。その中に美女に弱いというものがあり、アスナが餌として派遣されたのだ。

しかし意外とやりにくい相手だったが、なにはともあれ協力を取り付けることには成功した。アスナはひとまず胸を撫で下ろしていたが――。

「それじゃ、早速行くとしますか」

ジルのそんな発言を聞いて、アスナは凍りついた。

「――は、はいぃ!?」
「なんだよ、その叫び」

アスナのすっとんきょうな声に、ジルは少し拗ねたように唇を尖らせた。

「ちょっと寄るとこがあるけど、そのあとはすぐにでも行けるからさ」

それとも、とジルはニヤリと笑みを浮かべてアスナの顔を覗き込んだ。蛇に睨まれた蛙というべきか、アスナは顔を引きつらせて一歩後ろに下がった。

「約束だけ取り付けて、自分はさっさとおさらばするつもりだった、とか?」
「う……」

図星だったアスナは思わず呻き声を上げた。
やっぱり、とジルは楽しげに笑みを漏らす。

「当たり前だよねぇ。俺みたいな得たいの知れないヤツと副団長サマを組ませようとは思わねぇだろーし」

でも甘ぇよ、と肩をすくめる。ジルの顔には軽薄そうな
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