第十一話
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けてしゃべり始めた。
「咲夜さんが自分を犠牲にしたように、どうしようもない状況になったらこういうこともしなければならない。なら、少しでも時間を稼げる俺が残った方が逃走の確率は上がる。そうでしょう……レミリアさん」
「……」
俊司の言ったことは寸分狂わず当たっていた。
運命を操ることのできるレミリアなら、俊司が残ることでどうなることか分かっていた。だが、それゆえに彼を残らせるわけにはいかなかったのだ。
だが、彼の決意は予想以上に固かった。いくら説得しても曲がることはない。それはレミリアにもわかっていた。
「……」
「反論がないなら……それでいきま……」
「待って下さい!」
結論が下されようとした瞬間、何かを覚悟した顔で月の兎がそう叫んだ。
「……鈴仙?」
「私の能力を使いましょう!霧の湖にあった基地でもそれで成功させたじゃないですか!」
「そうですよ!鈴仙さんの能力を使えば気付かれにくくできるじゃないですか!」
「そうしたら俊司さんが残ることはないです!全員無事でかえれま……」
「……ダメだ」
「!?」
全員が鈴仙の意見に賛成しようとした瞬間、俊司はそれさえも突き放した。
「どうしてですか!?なにも犠牲になる必要なんてないじゃないですか!」
「ああ。確かに鈴仙の能力を使えば俺も助かる」
「なら……」
「でもダメなんだ……鈴仙。さっきの状況を見て気付かなかったと思ってるのか?」
「!?」
俊司がそういうと、鈴仙はなぜか目をまるくしていた。おまけに額から軽い冷や汗が垂れ始める。
「さっき……あの男には鈴仙の能力を使ってもばれてしまった。能力を使えば100%目を欺くことができたはず。でも、それができなかった」
「……」
「疲れてるんだろ……鈴仙?連戦が続き、自分の能力をふんだんに使ってしまったからか、疲労がたまってしまった。そうだろ?」
「……」
「げんにあの男にばれたとき、鈴仙の表情はすっかり青ざめて衰弱しきった顔になってた……正直にいってくれるか?」
「……はい。俊司さんの言うとおりです。次に能力を使えば……私が倒れてしまう可能性もあります」
鈴仙は顔をうつ向かせたままそう言った。
俊司はやっぱりかと言わんばかりにはあと溜息をつくと、話を続けた。
「ごめんな……ここに来るまでに気づいていれば……」
「いいんです。自分が決めたことですし」
「これ以上無理はしなくていいよ。気持ちだけで十分だ」
「……はい」
「……さて、他に異論はないかな?」
俊司はそう言ってあたりを見渡す。だが、誰一人俊司としゃべろうとは
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