第9話『帰郷』
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海に捨てられてから考えたことなかった。
俺にとってナミは好きな女性以外の何者でもないわけだけど、ナミは俺のことをどう思っているのだろうか。想像は出来る。というか多分わかっている。ただ、正直にそう思いたくない。
ただこの男は絶対答えろよ、的な目で俺をにらんでくるし、麦わらの男も興味津々と言った様子で耳を傾けている。彼らの船に乗せてもらっている以上答えるの筋。
だから、正直な関係を答えよう。
「俺はナミの兄貴、みたいなもんだよ。血はつながってないけど、同じ母さんに育ててもらった兄妹。きっとそれが一番正しい関係かな」
そうだ、きっとナミからしてみたら俺は兄以外の何者でもない。
わかってはいるけど。わかってはいたけど。
自分で宣言すると辛い。
「お、お兄様!?」
金髪の男の声色が急に変わった。多重人格かなにかなのだろうか。変わっているけど、この男もおもしろいな。
「で、アーロンに襲われた俺の故郷の村を救うためにアーロンを潰しに来た。それが俺がコノミ諸島に向かってる理由」
「潰しに!?」
またヨサクという男の声。いいリアクションだ。
「そのための修行は積んできたさ」
「そっか……手伝おうか?」
「ばか、俺たちはナミさんを取り戻すという崇高な目的があるだろうが!」
蹴りを麦わらの頭に入れて諌める金髪の男。痛そうだけど、麦わらは痛くなさそうだ。頑丈だな。
「ナミに用があるだけで、別にアーロンをつぶすことが目的じゃないんだろ?」
「ああ」
「じゃあいいよ」
「……いいのか?」
なぜか詰まらなさそうに答える麦わら。
戦いが好きなのか、それとももっと別のなにかがあるのかはよくわからないけどそう言ってくれるだけでも嬉しいものだ。ナミが海賊の……というかこいつらの仲間になったっていうのも頷ける。
世界中の海図を自分の手で記すっていう夢、こいつらとなら笑顔でやれるって思ったんだろう。
もうそこに一緒に旅をしようと約束した俺がいないのは残念だけど、それが当たり前で、当然だ。
覚悟はしていた。
それでも少し寂しくなる自分のみっともなさをどうにか追っ払って、麦わらに言う。
「気持ちだけ受け取っておく、ありがとな」
俺はこの麦わらの夢を応援したい。一目あっただけだけど本気でそう思ったし、何よりもナミの夢を応援もしたい。だから、麦わらたちはナミを取り戻したらすぐに海に出るべきだ。
「ナミのこと、さ……あいつ色々とわがままだだし、ぶっきらぼうなところだってある。でも根は優しいし、すげえいい女だからさ。あいつのこと、よろしく頼むな?」
「ああ!」
「任せてくださいお兄様!」
どうでもいいけどお兄様はやめてくれないか。なんかいやだ
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