第9話『帰郷』
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がそれを助けた。その行為にアーロンが切れて、下手をすれば村崩壊の危機に慌てて他の魚人がアーロンを抑えてアーロンパークに帰るという一悶着の後、そのココヤシ村へと彼女、いや魔女が帰還した。
彼女はココヤシ村の外れ、そこに位置する家の裏にある、十字架を模して作られた木の墓の目前に座り込み、花を置く。
「あと……700万ベリー」
呟いた値段が何を示すかはもちろん本人のみぞ知る言葉だが、その後ろにノジコとベルメールが姿を見せた。
「相変わらず評判最悪だよ、ナミ」
「まーね、海賊だもん。でもアーロンは話のわかる奴よ。お金ですべてのことが運ぶから。あいつとの約束はもう少し。何が何でも一億べリーを稼いで私はこの村を買うの」
スケールのでかいことを笑顔で言う少女の笑顔は実に太陽のごとく輝いており、冗談の類は感じられない。それに、ベルメールは尋ねる。
「その後はあんたどうすんの? 私たちを守ってくれたその子を継いで、私たちを救ってくれるあんたは?」
なんとも悲しそうに、それは自分には何も出来ないという無力からの言葉。自分の子供たちに命を助けられ、村を救ってもらおうとしている自分への怨嗟の声でもあったのかもしれない。
「あいつのつり道具あたりでも持って海に出たいな……それが私とあいつの夢だから」
膝を抱え込んで、目の前の墓を見つめて、そして何かを思い出すように、ナミは言った。
「そうよね、ハント」
その目は悲しそうで、楽しそうで、なにかを懐かしむかのようで。
「だってあんた、私のこと好きでいてくれてるんでしょ?」
ナミの問いに、風がふわりと舞い上がった。
「……ありがとう、助かった。しかもめちゃくちゃ美味しかった」
3人組の男たちに、とにかく俺は頭を下げた。
シャボンディ諸島からまっすぐとイーストブルーを目指し、カームベルトでボートを漕いだり押して泳いだりして渡り、途中自分を食おうとした海王類の牙をジンベエ師匠に殺されかけながら授かった魚人空手と殺されかけながら培った水中での動きで撃退したり逃亡したりを繰り返し、カームベルトを渡った途端に荒れだした海模様に結局ボートが転覆して、結局自力で海を泳ぎ、不眠不休で泳ぐこと丸……どれぐらいだろうか。方向もわからなくなってしまい、そろそろ体力も尽きそうだと思っていた時に丁度通りかかった、海牛にひかせている船に乗せてもらい『船が難破して海をずっと泳いできた』と言ったら食事まで振舞ってくれた。
実に心優しい人たちだ。俺もいつかこんな海の男になりたいと、思わないでもない。いや、もちろん大切な人たちを守る強さ、それにジンベエ師匠を超える強さを求めるのは大前提の話としてだ。
「しかしお前どこ向かってたんだ? 悪いが
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