暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode6 恐怖と絶望の体現者
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略組』相手にだって対戦(デュエル)で負けたことは無い。

 「…『攻略組』が怖くて、こそこそ低層フロアを這いまわるてめーらより、俺の方が強い」

 にやりと笑って、拳を握る。体は、動く。例え最強の殺人鬼を相手にしても、俺は十分に戦えるはずだ。周囲を探る『索敵(サーチング)』スキル。既にマスターに達したそれでも、敵の伏兵はない、

 一対一だ。…いける。
 いや寧ろ、最悪のお尋ね者を捕える、絶好の機会とすら言えるだろう。

 そう考えて、戦闘の構えをとる俺の前で、PoHが突然笑いだした。

 「HA−HA−HA! 『攻略組』が怖い? 俺の方が強い? 傑作だ!!!」

 ポンチョの裾から出た左手で頭を押さえ、可笑しくてたまらないと言うように笑う。そしてもう片方の裾から出た右手には、肉厚の赤黒い刃を持つ大型ダガー、《友斬包丁(メイトチョッパー)》がギラリと覗く。

 (……だが、それも、悪くはない)

 中華包丁のようなその特徴的な武器は、現在確認される最上級の鍛冶屋製作(プレイヤーメイド)の短剣をはるかに上回る性能を持つ、いわゆる「魔剣」だ。だが、もとから避ける前提で戦う俺には関係ない。その形状の問題で突き技が弱体化する分、先読みがしやすいと言えるだろう。

 耳障りな哄笑を意識から追いやり、冷静に分析する。

 「お前は勘違いしてる! 滑稽な程にな! 教えてやるよ、『旋風』! お前が単なる獲物に過ぎないってことをな!!!」

 なおも狂ったように高笑いを上げるPoH。
 その体が。

 (……っ!?)

 ゆらりと揺れた。

 傍目にはほとんど分からない、ほんのわずかな動作。
 だが俺はその瞬間、背筋が泡立つほどの緊張感が体を駆け抜けるのを感じた。

 来る。

 「YA−HA−! イッツショウタイム!!!」

 俺の判断とほとんど同時に叫んだPoHが、一直線に俺へと斬りかかった。



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