第二十二話 少年期D
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分になりたい。それがアリシアの目標にもなっていた。
しかし目標にして頑張っても、アルヴィンは変わらない。アリシアにはそれが歯がゆかった。無理やり関わる方法もあったが、それは相手を困らせるだけだと彼女は理解していた。でもどうしたら達成できるのかも思いつかない。成熟した目線と幼い感情のせめぎ合いが彼女の不機嫌の理由でもあった。
そんな風に思い出してきて、アリシアはむぅと唇をとがらせた。だいたいお兄ちゃんはいつも私を子ども扱いばかりする、と記憶を思い起こす。
お風呂だって目を瞑らなくてもシャンプーができるようになった。夜に1人でお手洗いに行くことだってできるようになってきたのに。落ちているものを食べたらお腹がピーちゃんになるから大変なことも知った。新しいこともどんどん覚えている。
間違いなくお姉ちゃんになっているはずだ、とアリシアはうんうんとうなずいた。そしてふと思いだす。兄はやっていたのに、自分にはさせてくれなかったこと。別に危なくもなければ、迷惑もかけないのになぜかダメだと言われたことだ。
少し考え、アリシアは決意する。あの時、アルヴィンには早いと言われて見せてくれなかったもの。それは子どもだから見せられないということだ。それに対し、少女の中に小さな反抗心が芽生えた。
「コードの書き方も間違っていない。これからも精進するといい」
「ありがとうございます。……あのね、くまのお兄さん。よかったら教えてほしいことがあるんですけどいいですか」
「ん?」
いささか興奮しているのか、アリシアはそわそわした様子で彼を見上げる。アリシア1人ではまだうまくできないため、どうしても協力が必要だった。断られたらどうしようと思いながらも、まっすぐに相手の眼を見据えて話した。
「その、お兄ちゃんにはまだ早いって言われちゃったことなの。でもね、私はできると思うんだ。だからやりたい!」
「待て、何をしたいのかをちゃんと言いなさい」
「大人の階段を登りたいの!」
「ブホォッ!」
意訳、子ども扱いされたくない。アリシアの語彙力のほとんどは兄からの影響です。
「私1人じゃできないから、くまのお兄さんお願いします。協力してください!」
「いや、ちょっと待とう。お互いに待つべきだ。そうだ、待とうではないか」
「端末の使い方を教えてください!」
「俺は18歳で君は6歳だ。いくら色々な年齢の水準が下がっている時代だとしても……端末?」
「これでいいのか?」
「わぁ、ありがとうございます。通信のやり方は教えてもらっていたけど、ネットのやり方はわからなかったんです」
「ふむ。別に内容も特におかしいわけではないみたいだが、独特な店みたいだな」
「『ちきゅうや』っていうんだって」
「地球? そ
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