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少女1人>リリカルマジカル
第二十二話 少年期D
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。男性はもともとあまり口数が多いタイプではない。同僚や上司からも寡黙な人物だと認識されているし、彼自身も口下手だと自覚している。

 しかし決して人当たりが悪い人物というわけではなかった。だが第1印象は無愛想な感じにとられやすく、10代後半にしてはなかなかの大柄な体格のため怖がられることもあった。実際アリシアも最初に出会った日は驚いていた。

「くまのお兄さんは知ってるの?」
「いや、そうかもしれないと思っただけだ。……ちなみにくまは決定なのか」
「え、くまさんかわいいよ。お兄ちゃんが『森のくまさん』みたいな人だねって教えてくれたんだもん」

 初対面の時、子どもとの接し方に戸惑っていた男性を見て、アルヴィンがまたしても命名。髪も服装も茶色だったことも理由にある。これにアリシアのハートが鷲掴みされた。

 くま=大きいけど優しくてかわいい動物=お兄さん。

 脳内変換も無事終わったことで第1印象は彼方に吹っ飛び、あっさり懐いた妹。勝手にあだ名作って、これちょっと妹の将来大丈夫だろうか、と勝手に悩みだす兄。何しでかすかわからない兄妹と感じた男性。でも怖がられなかったのはちょっと嬉しかったらしい。


「やった、終わった!」
「あぁ、よく頑張った」

 あれからまた少し経ち、アリシアは今日の宿題を終わらせる。できたテキストを黙々と丸付けしてくれるくまさんに癒されながら、アリシアはリニスの毛並みも堪能する。先ほどまでのふて腐れていた気持ちも、癒し系達のおかげで緩和されていた。

 彼女が不機嫌だった原因は、アルヴィンの反応だった。アリシアは多少なら兄の感情を見分けることができる。見分けられるといっても、時々笑っているけど、何か違う気がするというぐらいのことしかわからないが。それだけ彼女の兄は、表情を取り繕うのが上手いのだ。

 宿題を一緒にしたいと申し出た時、兄は何か悩んでいるようだった。雰囲気もどこか固く感じた。だがその印象は一瞬で消えさり、アルヴィンはいつも通りに笑顔を浮かべていた。普通なら最初に感じた違和感が、ただの勘違いだったのだと思うだろう。だがそれをアリシアは、自分には触れてほしくない部分なのだと察した。察してしまった。

「妹なのに…」

 リニスにも聞こえないぐらいに囁かれた小さな吐露。立派なお姉ちゃんになるために、あのピクニックの日以来アリシアは努力を始めた。母のお手伝いを毎日頑張るようになった。文字の読み書きも熱心に取り組んだ。兄と同じように魔法の勉強もするようになった。

 それは妹ができた時、頼られるお姉ちゃんになるために頑張ろうと思ったからだ。けれどもう1つ、家族には言わなかったアリシアの思いがあった。兄に認めて欲しい、頼って欲しいという感情。母が兄に頼るように、兄に頼られるような自
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