暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
白と黒
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っと顔を上げるとユリエールを注視した。わずかに首を傾げて互いに顔を見合すが、すぐにニコリと笑い、視線を戻す。

ユリエールは、《六王》の名を聞くと、驚きにに目を見張った。

「な、なるほど《六王》の……。道理で連中が軽くあしらわれるわけだ」

連中、というのが昨日の暴行恐喝集団のことだと悟ったアスナは、ふたたび警戒心を強める。

レンは、そんなシリアスな空気などお構い無しにのんびりとした声で、ユリエールに声を掛ける。

「……つまり、おねーさんは昨日の件で抗議に来た、ってこと?」

「いやいや、とんでもない。その逆です、よくやってくれたとお礼を言いたいくらい」

「……?」

事情が飲み込めず首を傾げるキリトとアスナ、レンに向かって、ユリエールは姿勢を正して話しはじめた。

「今日は、お二人にお願いがあって来たのです。最初から、説明します。ALF……、軍というのは、昔からそんな名前だったわけじゃないんです……」

「軍が今の名前になったのは、かつてのサブリーダーで今の軍の実質的支配者、キバオウという男が実権を握ってからのことです……。最初はギルドMTDって名前で……、聞いたこと、ありませんか?」

アスナは覚えが無かったが、キリトは軽くうなずいて言った。

「MMOトゥデイだろう。SAO開始当時、日本最大のネットゲーム情報サイトだった……。ギルドを結成したのは、そこの管理者だったはずだ。たしか、名前は……」

「シンカー」

その名前を口にしたとき、ユリエールの顔がわずかに歪んだ。

「彼は……決して今のような、独善的な組織を作ろうとしたわけじゃないんです。ただ、情報とか、食料とかの資源をなるべく多くのプレイヤーで均等に分かち合おうとしただけで……」

そのへんの、「軍」の理想と崩壊についてはアスナも伝え聞いて知っていた。多人数でモンスター狩りを行い、危険を極力減らした上で安定した収入を得てそれを均等に分配しようという思想それ自体は間違っていない。

だがMMORPGの本質はプレイヤー間でのリソースの奪い合いであり、それはSAOのような異常かつ極限状況にあるゲームにおいても変わらなかった。

いや、むしろだからこそ、と言うべきか。

ゆえに、その理想を実現するためには、組織の現実的な規模と強力なリーダーシップが必要であり、その点において軍はあまりにも巨大すぎたのだ。

得たアイテムの秘匿が横行し、粛清、反発が相次ぎ、リーダーは徐々に指導力を失っていった。

「そこに台頭してきたのがキバオウという男です」

ユリエールは苦々しい口調で言った。

「彼は、体制の強化を打ち出して、ギルドの名前をアインクラッド解放軍に変更させ、さらに公認の方針として犯罪者狩りと効率のいいフィ
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