暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode5 八つ頭の竜の討伐
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のしがみつきに悲鳴を上げた。当然、ソラだ。先程の「六つ首」を倒す際に、敵の牙をいくつも《ソードブレイカー》で圧し折るという離れ業で、早々に敵の噛みつき攻撃を使用不可にしたのだ。一撃の威力の大きい噛みつきを封じれば、あとはブレスと薙ぎ払いしかない。それなりの高性能防具を持つ『風林火山』の面々なら、近寄ってのソードスキルの連発が可能だ。

 「おうおう、ソラちゃん! 次もよろしく頼むぜ!」
 「任せてクラインのおっちゃんっ!」
 「ぐっ、だからおっちゃんはやめてくれよ…」
 「いやっ、威厳あるって褒めてるんだよっ!」

 露骨に肩を落とすクラインの背中を、ソラが爆笑しながらバシバシと叩く。うーん若干哀れだ。俺もクラインくらいの年になればおっちゃんと呼ばれるのだろうか。そしてそれに傷つく様になるのだろうか。うーん恐ろしい。

 いや、今はそれより。

 「ソラ、お前が全部歯を圧し折ったらまたブレスが増えて、防ぐために俺がとんでもない目に遭い続けるんだがな…」
 「頑張ってっ! 頼りにしてるよっ!」
 「てめーそれで誤魔化せると思ってんのか?」
 「うーんっ。えっとっ、誤魔化されて?」
 「っ、っ!」

 上目遣いでのはにかむような笑み。くっ、こいついつの間にこんなスキルを。っつーかどんどん色仕掛けが上達してねえか!? 誰だこいつにいらんこと吹きこんどる奴は!?

 そんなことを必死に考えるものの、ソラの笑顔の大安売りが、とうとう俺の理性を押し流す。くっ、これが敗北か、と心の中で舌打ちするが、心の別のところでその「頼りにしてるぞ」発言にどうしようもなく喜んでしまっている自分を自覚してまたため息をつく。

 結果。

 次の大広間、「七つ首」での戦闘でも、俺は炎に巻かれながら走り回ることになるのだった。



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