第二幕その一
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
に顔を向けてきた。
「あの人は今どうしているのかしら」
「あの人とは?」
「いえ、いいわ」
しかし彼女は言いかけたところで兄から顔を背けた。そして俯いてしまった。
「いや、わかった」
「わかったって。兄さんは私のことなんか」
「おい、馬鹿にするな」
だが兄は言う。
「俺はずっと御前と一緒にいたんだ。だからわかる」
「じゃあ言わなくてもいいわね」
「ああ、それでいい」
俯いた妹に対して述べる。
「彼ならな」
「今どうしているの?」
「元気にしている」
「本当に!?」
不安げな顔だが顔を上げてきた。
「ああ。それは大丈夫だ」
「そうなの」
その言葉を聞いて少しほっとしたようであった。
「だったらいいわ」
マノンはそう言った上で述べるのであった。
「別れの言葉もなかったし。彼は優しくて誠実だったから」
「そうだな」
レスコーもその言葉に頷く。
「彼はいい奴だ」
「知ってるの?彼のことを」
「あの後だ、俺は彼と会ったんだ」
レスコーは真面目な顔でマノンの顔を見据えて述べる。その目は決して嘘をついているものではなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ