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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
マイとユイ
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る悪意のプレイヤーも排除できないということであり、このように通路を塞いで閉じ込める《ブロック》、更には直接数人で取り囲んで相手を一歩も動けなくしてしまう《ボックス》といった悪質なハラスメント行為の存在を許す結果となっている。
だがそれも、あくまで地面を移動する場合においてのみ可能な行為だ。
アスナはキリトを見やると、言った。
「行こう、キリトくん」
「ああ」
頷きあい、二人は地面を蹴った。
敏捷力と筋力のパラメータを全解放する勢いで跳躍した二人は、呆然とした表情で見上げるサーシャと軍メンバーの頭上を軽々と飛び越え、数回建物の壁を蹴りながら飛翔すると、四方を壁に囲まれた空き地へと降り立った。
「うわっ!?」
その場にいた数人の男達が驚愕の表情で飛びすさる。
空き地の片隅には、十代なかばと思しき二人の少年と一人の少女が固まって身を寄せ合っていた。
少女は白いキャミソール一枚、少年たちも下着姿だ。アスナは唇を噛むと、子供たちに歩み寄り、微笑みかけながら言った。
「もう大丈夫よ。早く服を着なさい」
少年たちはこくりと頷くと、慌てて足元から着衣を拾い上げ、ウインドウを操作しはじめる。
「おい……オイオイオイ!!」
その時、ようやく我に返った軍プレイヤーの一人がわめき声を上げた。
「なんだお前らはァ!! 邪魔すんのかコラァ!!」
「おっ、待て待て、この女いけるじゃん」
アスナの顔をじろじろ見ながら、ひときわ重武装の男が進み出てきた。どうやらリーダー格らしい。
「姉ちゃん、見ない顔だけど、俺たちの邪魔すっとどうなるか、わかってんだろうな? 逃がしゃしねえぞ。本部でじっくり話、しようや」
「おお、それいいねぇ」
周囲の男達が追従するように笑い声を上げる。調子に乗って近寄ってきたリーダーは、夏みかんの皮に切れ目を入れたようなごつごつした顔を突き出してアスナの顔を覗き込み、次いでアスナの腕の中で眠っているユイに視線を落とした。
ぴゅう、とヘタな口笛を吹き、言う。
「うほっ、これ姉ちゃんのガキかよ?」
再び、野卑な爆笑。
「ま、姉ちゃんがあいつらのかわりに税金払ってくれるなら文句はねえや。さ、本部いこうか。そのガキもいっしょになァッ──!!」
その時、ゴッ!というとてつもなく重い音がし、リーダー格のプレイヤーがボールみたいに遠くへバウンドしながら飛んでいった。
ヒュッ!という風切り音。あっけにとられているアスナの前に、小さな影が空から音もなく降り立つ。
「ひっさしぶり〜、アスナねーちゃん」
軽い声とともに、血色のフードコートを着、マフラーに顔を埋めた少年、レンは再度遠慮の欠片もなく腕を振るう。
再びの風切り音
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