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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第56話 ハルケギニアの夏休み・宵の口
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るのも慣れているのでしょう。
 もっとも、俺の話が信用出来ないのなら、俺が異世界から召喚されたと言う事さえ信用出来ない話と成りますし、そもそも、自分たちが使用している系統魔法だって、始祖ブリミルと言う人物から伝えられた魔法なのですから、かなり出自の怪しい技術だと思うのですけどね。

【彼女が元々暮らして居た異世界に帰れば、すべてが丸く収まるとは思えない】

 コルベール先生の研究室にやって来てから、初めて彼女の方から言葉を掛けて来たタバサ。ただ、その方法が【念話】を使用しての会話ですし、更に、非常に剣呑な内容。
 もっとも、その方が彼女らしいですか。まして、彼女が鋭い洞察力を持って居るのは確実ですし。

【確実な事は言えないけど、今年は凶作と成る可能性が高い。更に、戦乱が起きる可能性も非常に高く成ったと思う】

 異常な高温と、雨の降らない状態が既に二週間以上続いているので、豊作と成る可能性は低いでしょう。このハルケギニアの農業は乾燥農業。灌漑工事を伴わない、自然の降雨に頼った農業ですから。そして戦乱に関しては、別に魃姫が顕われずとも、既にトリステインとアルビオンの間で戦端が開かれた状態に有り、未だ閉じられる雰囲気は有りません。
 但し、それ以外にも起きる可能性が有るのは……。

【疫病が既に、何処かで発生している可能性が有る】

 水不足からの凶作。更に、戦乱。これに続く、と言うか、セットと成って人間界に襲い掛かるのは、古来因り疫病と相場が決まっていますから。
 まして、

【応龍が、魃姫の能力を借りて滅ぼしたのは蚩尤。色々な兵器を開発した悪神にして武神。そして蚩尤の先祖は、人間に医術と農業を教えたとされる炎帝神農氏】

 まして、殺人祭鬼の連中が崇めているのはモロク系……つまり、牛の姿を持つ邪神。蚩尤も四目六臂で人の身体に牛の頭と角を持つと言われる邪神。
 そして、日本の八百万の神々の中で牛頭の神で有名な存在は……、京都祇園社の祭神として有名な牛頭天王。この神は疫神。更に、スサノオと同一視される日本最強の荒魂(あらみたま)

 状況証拠だけですが、疫病が起こらないと楽観視する事は出来ませんから。

【何にしても、今年の冬を無事に乗り越える事がかなり難しいと言う事やな】

 タバサを見つめながら、そう【念話】を送る俺。そして、その俺とタバサの二人を意味有り気な瞳で見つめる赤毛の少女。

 …………この感覚は。
 そう言えば、また、周囲の状況も顧みずに、視線を逸らす事もなく見つめ合った状態を維持して居ましたか。
 これでは、俺とタバサは周りの空気を読まないバカップルそのモノ。まして、どう考えても、瞳と瞳で判り合って居るような雰囲気を周囲に発散させ続けて居ますし。
 寺山修二の言葉の中に、自分
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