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巫哉

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供っぽいことにこだわってるわけにもいかないし、何より…おまえに嫌われたくない」



 そう言いきって、犀はまたひとりで悶え始めた。



 それを見て日紅は堪え切れずに笑ってしまった。



「笑うなよ!あー俺情けねぇ〜…」



「あはは、でも、そんな犀の素直なとこ好きだよ」



 日紅は犀に小突かれる。



「今のどこが情けなかったの?犀が優しい人だって再認識したんだけど」



「情けないだろ!?嫉妬したとか、嫌われたくないとか!女々しすぎる!」



「全然そんなことないよ。言ってくれた方が、嬉しい。ありがとう犀」



「…ん」



 照れ隠しなのか、犀はしかめっ面で口を手で覆った。しかし顔の赤みはひかないままだったので、さらに日紅の微笑を誘った。



「あたしもごめんね。なんか、巫哉もいないし、犀ともあんなだったから、どうしていいかわからなくて避けるみたいなこともしちゃって」



「いや、それはもとはといえば俺が悪いから」



「じゃあ、二人とも悪かったってことで、仲直り、ね?」



「ああ」



「…ね、犀。巫哉(みこや)のことだけど、心配しなくて大丈夫。今日迎えに行ってくる」



「いるとこ、わかったのか?」



「ん…てかさ、犀が巫哉のことで怒っているみたいだったから言ったら犀不機嫌にしちゃうかなと思って言えなかったんだけど、この前巫哉に会ってね…」



「ん」



 犀がむすりとする。



「俺が嫉妬するのはもう反射みたいなものだと思ってくれ。隠し事されるより、言ってくれた方がいい。あいつにはどうしても対抗意識が出る。で?」



「この前あたしが熱出したの覚えてる?その時に巫哉に会えて。公園にいたんだけど。巫哉の真名(まな)を思い出したら、帰ってきてくれるって」



「真名、真実の名ねぇ…。てか熱出したときに公園?月夜に会った?どうやって?」



「それはウロが…って、問題はそこじゃないの!」



「俺にとってはそこだよ。おまえ無茶するなよ!?」



「してない、してないからっ!」



 (ウロ)に齧られた事を言ったら外出禁止令を出されそうだと日紅は思った。



「真名思いだしたら帰ってくるって…そんなことで家出したのかよあいつは。子供か」



「まぁ帰ってくるとは言ってないんだけど、ただ思い出せって。でも帰ってきてくれると思う」



「へぇ。思い出せたってことか?教えろよ。帰ってきたらからかってやろう」



「              」



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