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シャンヴリルの黒猫
24話「グランドウルフ戦 (3)」
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ェ<風に舞う者>と名付けられたグァーは、翼をはためかせると、上空に飛び上がった。風圧に、木箱や道端に転がっているごみが、勢い良く家屋にぶつかる。

「なッ!?」

 塀の上空から冒険者達を見たユーゼリアは、目を疑った。
 確かに、激しい戦闘を想像してはいた。が、目の前で行われている戦闘は――これを戦闘と呼べるのかも怪しいが――とにかく、ユーゼリアの想像を超えていた。

 警備兵とガーク達は合わせて30人くらいいる。だが、誰ひとりとして戦っていなかった。皆、呆然という表情をしている。だが、それも致し方ないだろうと、この時ばかりはユーゼリアも思えた。

 ならば、彼らが戦っていたはずのグレイハウンドはどこへ行ったのか。

 それは、防壁より少し離れたところにいる、()の元。


 グレイハウンドを率いるグランドウルフの足元にいるアシュレイに向かって、ハウンド達は攻撃を繰り返していた。
 だが、すぐにユーゼリアもその光景に絶句する。20匹ものハウンドの攻撃に加え、自身の3倍以上ある巨躯のグランドウルフの攻撃は、だが一撃もアシュレイには当たっていなかった。彼が避けているような素振りはない。普通に、まるで散歩にでも出かけるように、グランドウルフの足元をぐるぐると歩き回っているだけ。
 だが、それは確かに、オオカミ共の攻撃を避けているのだとユーゼリアにはわかった。おそらくガーク他数名もわかっているだろう。

 アシュレイが一歩左に動けば、次の瞬間彼がいた場所にはグランドウルフの鋭い牙が突き刺さる。少し歩みを遅くしたら、その目の前をハウンドが空に体当たりした。

 兎に角躍起になってアシュレイを狙っているオオカミ達は、まるで何かを恐れているようだとユーゼリアは思った。その時、下からガークの声が響く。

 「は、早くあいつを助けろ!」

 その言葉にハッとして、ユーゼリアもラフランジェに指示を出す。

「ラフランジェ、オオカミ全部に【逃れえぬ突風】!!」

「ギイィィ!!」

「そのままグランドウルフに【連なれ疾風】!!」

 ひときわ大きくラフランジェが羽ばたくと、目に見える程の風の刃がオオカミだけを的確に狙って放たれた。ほぼ一撃で、グレイハウンド達は首を刈られる。僅かに生き残ったハウンドは、警備兵たちの弓矢によって止めを刺された。

 灰色の毛が風の刃を守ったグランドウルフは、上空に突如現れた強敵に、唸り声を上げた。が、その顔面にも風の刃は襲ってくる。息もつかせないような連射に、グランドウルフは森へ逃げ出した。

「もういいか」

 アシュレイは、自分の役目は終わったとばかりに、駆け足で警備兵たちの元へともどる。それを見届けたユーゼリアは、ラフランジ
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