暁 〜小説投稿サイト〜
自由気ままにリリカル記
十七話〜邦介の受難〜
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…いこうとしているのを必死で我慢しているのかプルプル震えている。


「そ、それで、探している形をはやく言いなさいよ!」
「うん! えっとね……こんな形をしてて青色の宝石なんだけど、見つけたらすぐなのはに教えてね」
「ええ。いいわよ」
「うん。分かったよなのはちゃん」


なのはちゃんが言うには菱形で青い宝石みたいだけど、宝石だったら他の人に見つけられたりしないのかな?
今度お姉ちゃんにも聞いてみよう。



「それじゃ! お昼ご飯を食べましょ!」
「うん!」
「なのはちゃんのお弁当、いつも美味しそうだね」


勿論、なのはちゃんも美味しそうだけどね。


「えへへ。そう? すずかちゃんのお弁当も美味しそうだよ」
「ちょっと! 私も混ぜなさいよ。私のお弁当もあげるから!」
「「えー……」」
「ちょっと!!?」


いつもお昼の時は楽しい。冬は寒いからさすがに屋上では食べないけれど、それでも屋上で三人一緒に食べるのは楽しい。今日は仄夏ちゃんが学校を休んだせいか少し平和だ。
仄夏ちゃんは恥ずかしい所も平気で触って来るから少し苦手だ。だけど、津神君達の方がもっと苦手だ。


……津神君達が偶に、いや結構な頻度でやってくるけど。


だけど、邦介君と東雲君も一緒に食べたらもっと楽しくなると思う。
邦介君も東雲君も見た目は暗くていつも無表情なのに加えて、自分からはほとんど喋らないから話しかけ難い感じがするけど、実際は違う。とても優しい。
例えば私が入学したてでまだ碌に自分の気持ちも伝えることも出来なかった頃、クラスの女の子に苛められていたことがある。

苛められていたと言っても、筆記用具や教科書なんかが隠されていたくらいだからそこまで深刻なものじゃなかったけど、当時の私には学校にいくことが怖くなる程のことだった。
……今考えれば、上靴に画鋲が入れてあったり、物がぐちゃぐちゃに壊されていたり、机に落書きがされてあったり、物を投げつけられたり……数え上げればきりがないけどそういったことがされなかっただけマシだったと思う。


ある日、帰りの会が終わった後のこと。いつものように鞄に筆箱を入れようとしてそれが無いことに気付いた。そして、周りを見回すと背筋が凍りついたような感覚が一瞬で駆け巡るのを私は感じた。
十数人の子達がこちらを見ているのだ。しかも、思わず顔を背けたくなる程気持ち悪い笑みを顔に貼り付けた状態で。
苛めている人が誰なのか気づいたのは初めてで、こんなにも多くの人が私を苛められている事を知った時は、泣きたくなった。……いや、実際に涙が出た。
もう、学校になんて行きたくない。そうとまで思ってしまった。


嗚咽が零れそうになるのを必死で堪えている時だった。
そこで彼が
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