第7話『望まない再会』
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちの海賊船へと近づく。
海賊船の中から数人が動き、幾本もの縄をそこへとたらした。
ボートの男たちがまずは人魚を縄へと結びつけて海賊船に運び込むという算段なのだが、その時小さな声が船長の耳に響いた。
「魚人空手――」
「ん? 誰かなにか言った?」
なぜか懐かしさすら感じる声に船長が首をかしげて、もちろん身に覚えのない男たちは首を横に振る。そしてその瞬間――
「槍波」
――彼らの海賊船から一本の水の槍が生えて、崩壊。沈没を始めた。
「なんだ! 何が起こった!?」
「ばかな! ジンベエはいないはずだし、兵士だってここにくるのにまだ時間があるはず!」
「せ、船長どうしやす!?」
うろたえる海賊たちを尻目に、一人の男が海中から上半身をあらわした。
「……随分前に見た顔がある」
船長の顔を見つめつつ、すぐにそこから視線を外してその男、ハントが行動を開始した。まだまだうろたえている男たちのボートに水中から飛び乗る。まるで水中に何か足場になるもでもあるのか疑いたくなるような動きだ。
「ヒ!?」
――魚人空手を使うまでもないな。
顔を恐怖に引きつらせている海賊たちをまとめて蹴り飛ばし、二人まとめて水中へ沈める。その際に人魚を開放することはもちろん忘れない。
――ボートがあと九。
開放する人魚の数を数えて、ハントはまた別のボートに飛び乗った。
正直、ハントからしてみれば単なる作業行為。
水上の小さなボートに乗っているため足場も安定しない彼らでは、水中を苦もなく戦うハントの敵ではない。銃の狙いも甘ければ肉弾戦だって速度も体重も乗っていない。
結果、ものの数分で船長以外のボートを沈めることに成功した。
その間にも開放した人魚たちが自分たちを縛っていた縄を使って海賊たちをまとめて縛っている。随分と勇敢なその行為にハントはつい心配してしまったりするのだが、実際にそうしてもらえることによって助かるのは確かなのでそこは素直に感謝している。
――あと二人。
今までの動きそのままにボートからボートへと飛び乗ろうとして、気づいた。標的の海賊たちはいつの間にか縄で縛った人魚を背負い、陸地にまで移動していた。
「ははは、ここならお前ら魚人も本来の力じゃ戦えないだろう!」
「やる気ならかかってきやがれ!」
船長が叫び、その手下も息巻いてハントへと挑発する。
「……」
別に乗る必要のない挑発だが、この船長はハントにとって実に因縁のあるであろう相手。無言で陸地へと飛び移り、彼らに対峙する。
「随分と好き勝手やってくれたね、お前」
――やっぱり、こいつ。
間近で見て、完全にハントの記憶と一致した。
いつも船長の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ