第7話『望まない再会』
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?』
いやな予感を覚えて背を向けて逃げようとするそのハントに、ジンベエが回り込み、そして。
『――千枚瓦正拳!』
『ぶびぁ!』
その日も意識を失う。
「……あんのバカ師匠が」
思い出して、はき捨てるように呟いた。
自分自身で生きている自分に驚きを隠せない表情に、怒りの色もありありと見て取れる。
それから毎日のように、あらゆる魚人空手をハントの肉体に叩き込んでいくジンベエ。もちろん毎日のように吹き飛ばされては気絶していた。
あの時のハントは気絶することと寝ることの違いがわかっていなかった……明らかにぜんぜん違うということは本人が一番わかるはずなのだが、それだけ寝る間もなく気絶させられていたということだろう。
「……でも、問題はそこからだよなぁ」
その日までは良かった。ハントからしてみればまた気絶で終わっていた時のほうが良かった。
なにせジンベエはなんだかんだでいつも手加減してくれていたし、本当に命の危機になるくらいに強い攻撃はしなかったのだから。
だが、その日は違った。
『あ』
と漏らしたのはジンベエ本人。
――あれ、いつもよりやばくね?
ハントはそれを、直感的に命の危機を感じてガードをした。いつもよりも力も速度も段違いのそれを、普段のそれすらガードできたことのなかったハントが、だ。
もちろんその時、ジンベエの動きが見えたわけではない。ガードしても当然のように吹き飛ばされて、気絶もした。だが全力のジンベエの一撃を受けて死ななかった。ハント自身驚いたが誰よりも驚いたのはジンベエ。
『お前さん……ガードを?』
『いや、なんとなくここかなって……なんか、時々そういうのわかるんですよ』
『ほほぅ……見聞色か? 子供のころから狩りをして命の気配を追っていたおかげかのう。土台も出来てきているわけじゃし……覇気も頃合か?』
なぜか顔をテカテカさせて笑う師匠の姿が死神にしかみえなかったのは弟子としては仕方のないことだったろう。
それからほとんど組み手の日々だ。
組み手になって気絶は減ったが、その分、痛みと疲労度が加速度的に増加。魚人空手と覇気の両方を学ぶ方法が組み手のみ……というのはハントにとって『殺せよぉ……もう一思いに殺せよぉ!』なんて、泣きながら言うぐらいにつらい日々だった。
「やめよう……暗くなる」
遠い日々の回想を終わらせて首をめぐらせるが、ここは海の森。なにかがあるわけでもない。
最初は綺麗な場所だと思って感動していたハントも、今では見慣れてしまった風景に何かを感じることが少なくなってしまった。誰かと遊びたいと少しばかり思う彼だがそういう親しい人物は残念ながらいない。時折、この海の森を研究してい
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