第十七話
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な」
って代わりにレイニーさんが応えて、レンナートさんの尻をバシッと叩いていた。
そうか……訓練で俺たちが王城に行ってる間とかにか。
「いずれ戻ってきますしレンナートさんはここで留守を預かってくださってもよろしいのですよ」
「オレが殿下のお側を離れる訳にはいきやせん。なに、いずれ戻るならそう言い含めまっす」
態度を改めてぴしっとしたレンナートさんに申し訳ない気持ちになってくる。
「明日から引っ越す準備、アタシも手伝うよ。それよりまだ今日は時間あるからちょっと出かけないかい? あ、レンナートは留守番ってか乳繰りあってろよ。その為に出かけるんだからな!」
「そんな事言われたらこっそり楽しむ楽しみがなくなっちまいますよ」
レンナートさんの言葉にみんなで大笑いした。
それから十日ほどして俺たちは出発した。
馬に遮眼帯をかけて荷台の一番後ろに座ることで、俺はなんとか馬車に乗ることができる。
レンスターからこっちに来る時も同じようにして向かってきたんだった。
このままレンスターに帰れたらどんなにいいものか。
御者席で馬鹿騒ぎしているレイニーを見て思う。
トラキアに来て間もないころ喪ったアイツ。
あんなことにならなかったら、俺にそうまんざらでもなさそうなレイニーにもっと気に入られるようにして、彼女の婿なり旦那なりを積極的に狙ったものをと。
途中グルティアやルテキアには寄らず、点在する村や兵の駐屯地などを周った俺達一行はレイニーの村へ着いた。
カパドキア城へ報告に向かう兵はその途中で別れた。
作業中の村人に出くわすたびにレイニーは御者台からぴょんと飛び下りて気さくに話かけていた。
やれ、今年は作柄どうだ?とか村人の家族の様子を聞いて喜んだり呆れたり、家畜の具合を見たり。
「すっかり領主様って感じじゃないですか。この村のひとらはレイニーさんと話してる間はぱっと顔つきが元気になりますね。 ただ……わたしのことを【この子あと5年ぐらいしたらアタシのいいひとになるのさ〜今からアタシ好みのイイオトコに育てようと思ってねぇ】そうやって紹介するのはちょっと照れるんですけれど」
「ふぅん。 嫌なのかい? 」
「嫌ってことじゃ無いですけど」
「だったら言った通りにしようかねぇ」
そう言ってからレイニーは大笑いするものだから、俺も苦笑するしかなかった。
そのまま領主館に詰めている代官のところに挨拶に行くとあらかじめ飛竜による伝令によって知らされていたのか、俺たちの長期滞在の準備は出来あがっていて、あとは持ち込んだ荷物を搬入するくらいだった。
随行してきた兵たちの協力があってあっというまに荷物整理が済んでしまい手持ち不沙汰にな
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