第十七話
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レイニーさんが自分に任せろと言ってから数日の時が流れ、今日はいつもより来るのが遅いなと思っていたところ、彼女は王宮からの使者を伴いやってきた。
彼女が言うにはこれから王宮へ行こうとのことであり、使者のほうは薬草畑の様子をつぶさに確認していた。
いつぞやの談話室に通されレイニーさんと事態が動くのを待っている間、彼女は部屋の中の調度品の引きだしや戸棚を開けては中を確認していた。
飾ってあった酒瓶をひょいっと手に取ると今度はグラスを手に取って……
タイミング良く? 扉が開くと、国王がワカメと数人の随員を連れてやってきた。
「まったく、相変わらずお前はやりたい放題だのぅ。護衛を任すのも少しはミュアハ王子を見習えと思う余の気持ちなのだぞ」
やれやれと言いつつ首を振る国王
「陛下〜、今日はそのミュアハ王子のことなんですからアタシのことは気にしても仕方ないでしょう。 お願いがあって今日はお時間作ってもらったって具合なんですから」
「ふむ、ではミュアハ王子、ご用件を伺おう。貴公にはひとかたならぬ世話になっておるゆえ、なんなりと申されよ」
なんで俺に振るかなそこー!
「はっ、恐れながら申し上げます。 わたしめはレイニーどのの申しつけにより委細存ぜず参内した次第であります。 畏れ多くも陛下のご厚意に縋るような大それた願いなどございませぬ」
「王子の折り目正しきこと、余はいたく感じ入っておりますぞ。……それに比べて! お前は、またいいかげんなことをしおって!」
国王は俺ににこっとすると目を転じ、レイニーさんをじろっと見る。
「はいはい申し訳ござんさーい、ミュアハ王子も遠慮しないで言いなよ。 薬草畑が手狭だから環境いいところに越して規模でかくして作りたいってさ。このままじゃあジリ貧だよってね」
「ふむ、たしかに王子の住まいの庭だけでは手狭だの、先程知らせてきおった者も今は新たな株が育つのを待っている状態であるとか報告してきおった」
「いっそのことアタシの実家のほうならどうかって思うんですよ、あっちならここよりは雨も降れば川もある。 このところの戦争や逃散で空いてる畑もあるでしょうよ。 戦も当分は無いのでしょう?」
国王とレイニーさんのやり取りが気にいらない者もいる、誰あろうトラバントであった。
「父上、あの者を城から出すなど危険すぎます。虎を野に放つが如きですぞ」
「はん、こんなかわいらしい王子がおっかないってかい?つまんない育ち方しちまったねぇ。いや、つまんない育て方しちまいましたかな? ち・ち・う・え・!」
「……レイニーよ、いかなお前とてその呼び方は止めよと申しつけておいたはず。 ここが公式の場ならば命が無かったと心得よ」
「公式の場じゃ無
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